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晴れた日の過ごし方 2

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もう絶叫なんて可愛いものではない。アレは怪獣の咆哮だと、カインはいつも思う。
ギルバートと他のメンバーは両手を上げて応えると、それぞれの楽器を構え音のチェックのために軽く鳴らす。
一音鳴るごとに大歓声。演奏前からこれでは、ステージが終わったら客は死んでしまうのではないか。
「すごいよね、本当」
セシルの嘆息は、熱狂するファンに向けられているのか、ギルバートたちの人気に向けられているのか、はたまた両方なのか。
それは付き合いの長いカインにもわからなかった。
ギルバートのしなやかな指先がギターの弦を弾き、美しいフレーズを奏で出す。
それは、このバンドの代表曲である美しいバラード。
3人の男たちはその音色に耳を傾け、その胸が締め付けられるような切ないメロディに酔った。
「俺さぁ、どうしてお前らがギルのライブではあんま酒飲まないのか、わかるよ」
ギルバートの歌声に聴き惚れながら、エッジは納得したかのように二人に告げる。
「ギルの音楽ってアルコール以上に酔えるもんなぁ。酒いらねーわ」
「まったくだ」
カインも頷く。
今ステージの中央でギターを弾いているお坊ちゃんは、音楽の才能だけは本物なのである。
「極上の音楽があれば、酒は要らんな」
「よく言うぜ」
「お前もな」
そう言い合いつつも、二人の口元は緩んでいる。
これもギルバートの音楽の効果なんだろうなと、セシルは時計を眺めつつ考えた。
ローザはまだ来ない。
作品名:晴れた日の過ごし方 2 作家名:あまみ