二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

誰にも君を渡さない 3

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 

「ああ、前にカミーユが心を壊してしまったのと同じ状態だったと思う。多分、ニュータイプは人の想いを…時には死者の想いまでも感じ取り過ぎてしまって、引き摺られてしまうんだ」
アムロは目を閉じてあの時の事を思い出す。

自身の中に人々の想いが大きな波となって覆い被さってきた。その中で、自分を見失いそうになった時、シャアの顔が頭に浮かんだ。
シャアにはまだ言いたい事があると…してあげたい事があると思った。
その時、自身を優しく包み込む気配に気付いた。人々の想いの渦から自分を守り、包み込んでくれる暖かい気配。
「…ララァは…人々の想いに飲み込まれそうになった俺を守ってくれたんだ。それでも、その衝撃でオーバーフローした俺は自己防衛の為に心を閉ざしていたんだと思う…」
「だからあんな風に?」
「多分な。…心配を掛けてすまない…」
「そんな!アムロさんが無事なら!ねぇ?艦長」
慌てるジュドーがブライトに視線を向けると、少し苛立った表情を浮かべるブライトにギョッとする。
「か、艦長⁉︎」
「ふざけるな!いらん心配させやがって!大体アムロ、お前は無謀すぎるんだよ!モビルスーツで引力に捕まった隕石を押し返せる訳がないだろう!」
「ブライト⁉︎」
怒り出すブライトにアムロがたじろぐ。
「今回も、十四年前もお前は本当に…」
拳を強く握り締めながらも、ブライトの肩が微かに震えている。
「俺は…またお前たちに色んな事を背負わせて…何も出来ずに…」
「ブライト…」
『ふふ、今も昔も、アムロには待っていてくれる人がいるのね』
「ララァ…、ああ…そうなんだ…。ごめんな、君の元にまだ行けなくて…」
『言ったでしょう?私、待つのは得意なの。いつかアムロが…違うわね。大佐が良いと言った時に来てちょうだいね』
「その時は私も一緒に行こう」
ララァに向かってシャアが微笑む。
『はい、楽しみにしています』
そう言うと、スッとララァの幻影は空気に溶けていき、気配も感じられなくなってしまった。
「行ってしまったか…」
「ああ」
アムロとシャアはララァの消えた空間を見つめる。
「良いんだよ!行っちまって!」
そう叫ぶブライトの瞳からは涙が溢れ落ちていた。
「ブライト⁉︎ごめん!本当に…心配掛けてごめん!」
「うるさい!馬鹿野郎!」
更に涙が溢れ出すブライトにアムロが必死に謝る。そんなアムロの瞳にも涙が滲んでいた。

『僕にはまだ帰れる所があるんだ…こんなに嬉しいことはない…。分かってくれるよね?ララァにはいつでも逢いに行けるから…』

十四年前、ララァに言った言葉が脳裏に蘇る。
まだ暫くは行けそうもないが、彼女は笑って許してくれた。

『いつか、シャアと一緒に君に逢いに行くよ…』

◇◇◇


その後、傷が癒えるのを待ち、アムロは連邦からの特使という名目でネオ・ジオンへと籍を置くことになる。
連邦政府の思惑通りとなってしまうのは些か納得がいかなかったが、ブライトは渋々ながらもそれに同意した。


アムロがスウィート・ウォーターへと旅立つその日、それを見送るブライトとジュドーの横にはチェーンがいた。
「チェーンさん、良かったの?」
恋人であるアムロが旅立ってしまうチェーンに、ジュドーが気遣いながらも尋ねる。
「ええ…」
チェーンは瞳に涙を滲ませながらもコクリと頷く。
「私…アムロの恋人としての覚悟が足りなかったと思うの」
「チェーンさん?」
「アムロの事は好きだったし、愛していたけれど…シャア総帥みたいにアムロを理解し、受け入れられていたかと言われたら…そうじゃなかったかなって…」
「チェーン…」
「アムロがあの状態になってしまった時…私はただ嘆く事しか出来なかった…。どんなアムロでも受け入れられる覚悟が無かった。結局、自分の事しか考えられなかったんだと思うの」
「そんな事無いよ!あんな状態だったんだ、誰だってそうだよ」
「ううん、その覚悟が総帥にはあった。その時点で私は負けてたの」
涙を拭い、チェーンが真っ直ぐにジュドーを見つめる。
「それに、他の女性の影のある男性は願い下げだわ!」
悲しみを振り払う様に笑うチェーンの笑顔に、辛いだろうに必死にそれを乗り越えようとする彼女の強さを感じる。そして、彼女ならば乗り越えていけるだろうとジュドーは思う。

なぜなら、その笑顔はとても晴れやかで、綺麗だったから…。


end

「誰にも君を渡さない」完結です。
逆シャアを久々に観て、アムロとチェーンがさり気なく手を繋いでいたり、触れるだけのキスをしたり、νガンダムで出撃する直前まで一緒にいたり、よくよく見ると、なんだかチェーンとアムロの恋人関係ってなんだか可愛いなと思いました。
一番好きなのはアナハイムから受領したνガンダムに補助シートを付けて乗るチェーンが発進のGで気絶してしまったのを起こすシーン。
あのシーンのアムロの表情が凄く優しくて!大好きです。
でも、やっぱり私の中でシャア×アムロの関係が一番なので、可愛そうだけれどお別れしてしまう展開になってしまいました。(ごめんね)

そしていつもの如く、懲りずに番外編でアムロinネオ・ジオンのお話を書くかもです。

koyuho
2019.7.23
作品名:誰にも君を渡さない 3 作家名:koyuho