op.1 綾波レイのSS [ハイキング」
シンジ 「それは・・・分からない。そういえば、そんなの考えたこともなかったよ。毎日訓練や実戦で大変で。逃げ出したこともあったけど。そういえばあの後、何をするつもりだったんだろ?自分でも分からない。どうしてそんなこと聞くの?」
レイ 「今、突然聞いてみたくなったの」
シンジ 「綾波はどうするの?」
レイ 「分からないわ」
シンジ 「そうだよね。よくよく考えてみれば、僕も、今エヴァを降りたら何もないよ。ほら、前に綾波が言ったよね。エヴァ以外に何もないって。でも、考えてみれば僕もそうだ。エヴァ以外のことなんて今は何もない。もしかしたら、僕も相当寂しい人間なのかもね。何にも取り柄がなくって。エヴァがなかったら、何もできない」
レイ 「いいえ。あなたは違うわ」
シンジ 「え?」
レイ 「知ってるもの・・・。音や景色や匂いや言葉。エヴァの外の世界を知ってる。私に、教えてくれたもの」
シンジ 「あ、ありがとう」
レイ 「わたしも、エヴァの外のことが知りたい。水や花や草や森や、空や星。知れば知るほど、 気持ちがいいんですもの」
シンジ 「そうだね。もっといろんなことを知って。色んな所に行ってみたいね」
レイ 「ええ・・・」(エヴァを降りたら・・・)
シンジ 「何か言った?」
レイ 「いいえ。何でもない」
シンジ 「そっか」
レイ:ニコッ
シンジ:少し驚いた後、笑い返す
後日、ネルフ本部にて
リツコ「はー」
ミサト 「なーに? ため息ついちゃって。老けるわよー」
リツコ 「最近レイがしょっちゅう出歩くようになったのよ。監視と報告で仕事が増えちゃって。あの子、ほとんど家から出ることないから楽だったのに」
ミサト 「でも良いことじゃない。レイも人間らしくなってきたってことで」
リツコ 「・・・。まあね。良いことなんだけどね。少し表情も柔らかくなったような気がするし」
ミサト 「そうねー。ハイキング、行かせて良かったわね」
リツコ 「そうね」
アヤナミ宅
部屋の隅に花壇。セリの花とペンペン草。水をやる綾波。カーテンが少し開けられ、朝の光が差し込む。
流れる水、気持ちのいいもの。
花と草、気持ちの良いもの。
朝日、気持ちの良いもの。
今日、とても清々しい日・・・
完
作品名:op.1 綾波レイのSS [ハイキング」 作家名:Yamanetti