無題
ヒートは机の引き出しの奥から銃を取り出し、卓上に置いた。護身用に随分前に購入したものだ。
もちろん使う機会などなく、ずっとしまいこんだままだった。
それを白衣のポケットに入れようとして手を止めた。しばらく逡巡した後、弾を全て取り出し、改めてそれを収める。
友人は何と答えるだろうか? たった数年前であるはずなのに、理想を語りあったあの日々はもうずっと遠くに感じる。
いつか確かに共有した、彼の中の思いは変わらずにいるのだろうか。
いや、変わったのは自分の方なのか……。
しかしもう決めていた。もう戻らない。
これから成そう。やっと思い出した、かつての己自身の心に問うた、自分がするべき事を。