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遭いたい逢いたいあなたにあいたい

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鋭い目をした男に僕は、2週間以上あっていない。


いつものように万事屋に出かけると銀さんがいなかった。
神楽ちゃんに聞くと机に『出かけてくる 銀さん』という汚い字で書かれた手紙があっただけだという。
(どこに・何日・何の用で行ってくるのか書いとけよボケェェェエェ)
などと憤慨した反面『パチンコか競馬かマダオとつるんでるだけだろう』と神楽ちゃんと銀さんの行方など気にもしてなかった。
 
気にしないと万事屋では働いてはいけない。
 
が、万事屋の主は5日たっても帰って来なかった。

その間の僕といえばはいつもと同じように生活していた。
万事屋と実家を往復する毎日。
定春の散歩とか万事屋の掃除、神楽ちゃんのご飯作りなど、いつも通りだ。
時々テレビから入る新選組がらみの情報を聴きながら1日、1日が平穏にすぎていった。
万事屋の仕事は銀さんがいてもいなくても同じでまったくもって入ってこない。

平凡で平和な毎日。銀さんが万事屋にいないことを除いては。

しかしお金は非情な奴で、月末の給料日前に生活資金が底をついた。
しかたなく(長谷川さんの代わりとして)コンビニでバイトを始めた。
(驚いたことに、銀さんと長谷川さんは一緒ではなかったことが、この依頼で判明した)
万事屋の主を探すべきか迷ったが、ここに居ても銀さんに会えない訳で、僕は喜んで働いていた。 
ぶっちゃけ忘れたかったんだと思う。
銀さんがいないことも。
土方さんに会えない事も。
(僕の中の不安・苛立ち・焦りを忘れたかった)
そうしたら何の縁だか、働きだして2日目に土方さんがお店に来た。土方さんに会うのは2週間ぶりで、正直、心ときめく。
(乙女みたいだ。最近の僕って奴は・・)
早く、買い物をすませてコンビにから出て行ってほしい。
じゃないと、土方さんに、話かけたくなる。
(この2週間何をしてたのかとか、コンビニで何を買うのかとか、くだらない事を沢山、沢山聞きたくなるじゃないか)
そんな自分が嫌いだ。
(もうやめようと思ってるのに)
土方さんがレジに並ぶ。
(気がつくかな。気がつくな。きがつかないで。)
心で願いながら一心不乱に床をモップで磨き続ける。
しかし、ものの1分もかからない内に「新八。」と、僕の後ろで土方さんの声がした。
(気付かれた!)
「あ、土方さん。偶然ですね」
にこやかに。かろやかに。動揺せずに。落ち着いて言葉を交わす。
心の動揺を顔にださないように。
「よう。お前ここで働いてんのか?」
土方さんは相変わらず瞳孔ひらきっぱで、鋭い目で僕の方を見た。
神経を尖らしているようだった。
(多分仕事中なんだろう)
何を考えてるか、決して顔から読めない。仕事をしている土方さんの顔。
僕の知らない顔。
「臨時です。雇い主が失踪中で、お金無くて」
その言葉に土方さんは眉をひそめる。
「あいつ家にいないのか?」
「ええ。行方がわからなくて。まあ、あまり気にしてないんですけど」
(嘘だ)
「そうか」
(土方さんが、銀さんの行方を知っているかなと思ってたのに)
当てが外れたようで、心の底でちょっとがっかりした。
「ところで土方さんは何故ここに?駐屯所とは逆の方向ですよね?」
聞けばコンビニの近くで護衛任務らしい。
突っ込んで聞くと「偉い人だ」と、土方さんはぶっきらぼうに答えた。
最後まで誰の護衛かは教えてもらえなかった。
「じゃあな」
会話の最後にぽんと僕の頭をたたき、土方さんはコンビニを出て行った。
土方さんと2週間ぶりの会話がこれだけで、僕は正直へこんだ。
んでへこんでる自分に気がついてまたへこんだ。
(仕事だから当然なのに)
 

だから・・

だから思い出したように、土方さんがもう一度僕の近くに寄って
「俺14時に休憩すっから。タバコ持ってそこの公園に来い」
と、僕に400円渡して帰っていった時は、心臓が高鳴り顔が火照った。
「あ、マイルド7な」
僕の右手に400円。
ちゃりんと小銭がぶつかる音と土方さんの熱い手の感触を残して土方さんは僕の視界から消えた。
(なんじゃそりゃ!)
最初、正直意味がわからなかった。
(公園・待ってる・マイルド7?)
僕に、来いって事?
無謀で無茶すぎる話だ。
だいたい、僕の休憩がおわってたらあの人はどうしたんだろう。
(ずっと待ってるのかな。)
待たないか。
新選組第一主義の人だし。
飄々として任務を続けるんだ。 
絶対に。
そうにちがいない。 
(何考えてるんだろう)  
ぎゅっと400円を握りしめた後、それをポケットにしまい掃除を続けた。
時計が12時を告げる。
(早く14時になればいいのに)
                   ☆
今年は暖冬なのか1月が終わろうとしているのにコンビニの制服とマフラーだけでも外は十分に温かだった。
僕と土方さんは公園のベンチに横並びに座ってぼーっとしていた。
いや、ぼーっとしていたのは僕だけで土方さんは(瞳孔開きっぱなしだが)それなりにきりっとした顔でタバコを噴かしていた。
「お昼食べました?」
「まだだ」白い煙が空へと消える。
「おでん食べますか?」
「いらん。すぐ戻らないといけないからな」
(ああ、そうですか)
いらぬ期待をした数分前の自分が恥ずかしくてしかかたない。叫びたいのをぐっとこらえて僕は二人分のおでんが入った蓋を開けた。
途端に湯気で眼鏡がくもる。
(あぁ、もう!)
「はは、眼鏡曇ってんぞ」
なんか理不尽なものを感じるぞ、僕は。
「で、何か御用ですか?煙草なんか買わせて。僕、未成年なんですよ。買うの怖かったんですよ」
右手にお箸を持ったまま左手で『マイルド7』を土方さんに渡した。
「あんがとよ。そうか、お前はまだ未成年だったけか。忘れてたよ」
煙草を受け取った逆の手で土方さんは僕の頭をそっとなでた。
子供をいいこいいこするみたいに。
(なんだそれ。今日の土方さん・・・・変だ)
子供扱いされてるみたいで頭をなでられるのは嫌だ。
「手どけてください。おでん食べたいので」
おでんを一口食べる。
(コンビニのおでんってなんでこんなにおいしいのかな)
なんて思っている間も土方さんは僕の髪をいじっている。
「食べづらいんですけど」
無言。
沈黙。
さっきから僕は土方さんに髪を撫でられる。
(なんか怖いな今日のこの人)
そっと土方さんの顔を見るとなんとなく、なんとなくだけど‘嬉しそう’だった。
コンビニの時には、表情からなにも読めなかったのに。
(楽しい、のかな?土方さん)
そう思うととたんに僕は顔が赤くなった。
軽く火山爆発って感じで。
どうして僕は素直に逢いたかったといえないんだろう。
逢いたかったのに。
偶然を装ってでも遭いたかったのに。
土方さんにあいたくてしょうがなかったのに。
(ちくしょう!)
「どうかしたか?」
土方さんの目が僕の目をとらえる。たぶんさっきより僕の顔は赤い。
そして、土方さんの目はすごく優しい。
 
(ああ、この人を僕は・・・)

「いいえ、べ、別に。あ、これどうぞ」
蓋にはんぺんと卵とちくわぶをのせて強引に渡した。
「いらん」
「僕が食べて欲しいんです」
「マヨもありますから、ね」
即座に土方さんが蓋を受け取った。