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ワルガキと妖怪アパートと魔法の塔

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と、龍神の書いてくれた地図を見せ、尋ねた。


「どれどれ…ほう!これはまた見事に書かれた地図だね。この地図を書いた人は、かなり絵の才能があるね、血筋かな?そして努力を惜しまないんだね、その原動力はやはり「絵が好き」という事か。好きこそものの上手なれ、そこに才能と努力が加われば怖いものはない。君と同い年で、有名な絵のコンクールに入賞とは大したものだ」

「そーなんスよ、龍神は凄い奴なんです、絵は上手いし、料理も出来るし、野菜は作るし…腹ん中はちょっと黒いけど…あれも血筋かな………ってアレ?龍さん龍神の事知ってるんスか?」

信久は自分が褒められるよりも喜び、それからはたと気付いてそう尋ねた。信久と同い年で、コンクールに入賞しているなんて事、陣内龍神の事を知らなければ言えるはずがない。


「いや…すまないね、覗くつもりはなかったんだが…君…信久くんと龍神くんは余程仲がいいんだね。その地図を媒介にして、信久くんを通して龍神くんを見たんだよ。いや、正確には「見せられた」かな?信久くんはイメージする力が人より強いのかもしれないね。見たというより、イメージが流れ込んできたという感じだった」


それを聞いて、信久は一瞬、呆けた様に龍さんを見た。そして、

「すっげー!すごいっスね龍さん!え、そんな事出来るんですか!カッコイイなー!」

と、目を輝かせて叫んだ。

龍さんはといえば、その反応が予想外だったらしく、目を丸くしてしげしげと信久を眺めた。


「信久くん…信じるのかい?今日初めて会った人間からされた、こんな胡散臭い話を?嘘だろう?」

「へ?ウソなんすか?」

「あ、いやいや、そういう訳ではないんだが……なんというか、君は変わってるね」

「あ、それ絶対龍神の影響っス。それとエスペ…同級生の女の子の。」

「……いや、それだけではない様な気も…きっと君は元来おおらかで、広い世界を持っているんだね。案外、非日常に慣れてるんじゃないのかい?」

一通り話した後、龍さんはそう言って全てを見透かした様な眼差しを信久に向けた。

思わず「そうだ」と言ってしまいそうになった信久だったが、

「秘密っス」

と笑いながら言うに留めた。


先程から放っておかれたのが面白くないのか、祐樹はしもぶくれのほっぺをぷうと膨らませ、信久に抱っこされながら暴れそうになった。

「おっと」

慌ててしっかり押さえようとしたが、その前に大樹が近寄り、ベンチの上に乗って、「よしよし」とでもいう様に祐樹の頭を撫でた。

すると祐樹は大人しくなり、黙って大樹の方を見た。

その様子を見て、信久は思わず吹き出してしまった。

「プッ!あははは!大樹はお兄ちゃんだなぁ、まるで子守でもしてるみたいだ」

その言葉を聞き、龍さんは感慨深そうに二人を見る。


「ふふ…そうだね、大樹はお兄さん…というより、母親代わりだったからね。人間になっても、祐樹の事を気にかけているんだろう」

そう言った後で、龍さんが一瞬「しまった」という顔をしたのを、信久は見逃さなかった。

「祐樹と大樹って人間じゃなかったんスか!?いや、「今は」人間なんスか!?すっげー!大樹が祐樹の母親代わりっだったってどういう事ですか!龍さん!詳しく!詳しく教えて下さいーーっっ!!」

鼻息荒く詰め寄る信久にやや気圧されながら、龍さんは慌てて言った。

「ち、ちょっと落ち着きなさい信久くん。話せば少々長いし、私はアパートにあまり帰っていなかったから住人達ほど二人の事を詳しくはない…」

「じゃあ行きましょう!」

「えっ!?」

「そのアパートの住人達に詳しく話を聞いてみたいんです!マズイですかね?」

「いや、マズくはない…いや、しかし私にも都合が…」

「祐樹と大樹を知り合いんトコに連れてくんスよね!?遠いんスか!?」

「いや、そんなには…それに、連れて行く場所は、まさに今言ったアパートなんだよ」

「じゃあ話が早い!行きましょう!」

「……君、強引だね…どっかの三人組を思い出すよ…」










清々しい青空の下。

三人悪は今日も元気に商店街を駆け回っていた。

スーパーでは試食という試食を荒らしまくり、ゲームショップでは何時間もゲームをし倒し、家電店ではカラオケを歌いまくる。

まさに「町内イタズラ大王三人悪」の名に恥じぬ、堂々たる悪行っぷりである。

そんな風に三人悪が町内でひとしきり暴れた後、ほぼ決まって「シメ」に行く場所があった。

それが、ミッタンこと三田村巡査が勤務する駅前派出所である。

三田村豪巡査。元暴走族グループ「黒龍党」のヘッドにして、「四天王の三田村」の異名を取る硬派。

暴走族時代に培った反射神経と腕っぷしの強さは抜群で、警官になった今なお不良どもにその名を轟かせている伝説的人物である。

そんな彼が何故警官になったのかは定かではない。もしかすると合法的に人を撃ったり出来るからであろうか。

そこまで凄い人物であるのに、三人悪とは(特にてつしとは)非常に相性が悪く、ミッタン呼ばわりされ、騙され、からかわれ、これでは示しがつかないと本気で追い掛け回しても三身一体の小僧どもの機動力には敵わない。

まあ、大の大人が小学生相手に「示しがつかない」というのは相当大人げないのだが。

地獄堂に通う様になってからは大王様の足も商店街からはとんと遠のき、ホッとした反面どこか寂しかったりもした商店街の方々だが、久々の三人悪の「行進」に、やはり「寂しい」などと露ほどでも思った自分達が馬鹿だった、と再確認せざるを得なかったという。

それは三田村巡査にしても同様で、三人悪は天敵ではあるが姿が見えないと少し、ほんの少しだが気にかかる。が、それはそれ。会って三人悪の変わらぬ生意気っぷりを確認するや、また本気の追い掛けっこが始まるのである。

さて。

駅前派出所付近に到達した三人悪は、キョロキョロと辺りを見回しながら、足早に派出所へ向かっていた。勿論、三田村巡査を見逃さぬ様に、である。

「今日はミッタンいるかなー」

「どうだろうねー」

「今月の今日は出勤になってたハズだよ」

なぜか三田村巡査の出勤日を把握している椎名の言葉を聞き、てつしとリョーチンは顔を見合わせてニヤッと笑った。

イタズラ大王のこの笑顔。三田村巡査は、本日はどんな仕打を受けてしまうのか。少々気の毒でもある。

三田村巡査に出会う事無く駅前派出所に到着した三人は、さも当然の様に堂々と派出所内に入って行った。

「チュース、ミッタン!!」