彼方から 第三部 第一話
分かっていても、コントロールするのは――必要なことだけに抑えるのは、難しかった。
――あたしの本当の役割は……いつ、分かるのだろうか……
エイジュ自身、それをいつ知らされるのか、『本当の役割』とは何なのか、何も知らない。
分かっているのは、イザークの行動と深く関わっているということだけ……
まだ、微かに残る痛みを抑えつけるように、エイジュは胸に手を当てたまま、体を起こし、前を向く。
今は、彼らの行動を信じるしかない。
彼らの味方でいられるよう――『愚かではない』行動を、彼らが取ってくれるよう、祈るしか……
突き抜けるように青い空を見上げ、エイジュは馬の揺れに身を任せ、静かに瞼を閉じていた。
第三部 第二話に続く
作品名:彼方から 第三部 第一話 作家名:自分らしく