CoC:バートンライト奇譚 『猿夢』 中
「いやちゃうねん! とにかく、やっぱ固まって動くよりもその方が効率ええと思うんやけど……」
外の光景を見て、心境の変化があったのだろうか。
提案するタンの様子は、どこか焦りがにじんでいるようにも思えた。
尤も、(その良し悪しはともかく)積極的な提案を行ったり、斉藤の発言にムッとする様子からは、いつもの調子を取り戻しているようにも思えたが――。
「だがタン君。この場での単独行動は……すごく嫌な予感がするぞ」
「なにも四人がちりぢりになる必要はないんじゃないか? 二人一組で行動するってのはどうだ?」
「あーそれもそうやな」
「それならリスク軽減と効率を両立できそうだね」
「それでいこう、斉藤君」
バリツも頷いた。
「問題は、その組み合わせだが……」
「……」
「……」
「……」
視線を交し合う、一同の沈黙。
斉藤が口を切ったのは、そう間もない時であった。
「――じゃんけんするか!」
★続
作品名:CoC:バートンライト奇譚 『猿夢』 中 作家名:炬善(ごぜん)