NAKED TRUE(未完)
幻魔拳に抗える一般人は皆無なので、サガは入手した情報で『荒稼ぎ』したのであった。
『まぁいい。お嬢様が呼んでいる。5分後にお嬢様の部屋へ来い』
「ドアから入った方がいいか?」
『?』
サガの言葉に一瞬考え込む辰巳。
普通部屋とは、ドアから入るものではないのか?ああ、たまに窓から入り込む奴もいるか。
『窓から入るつもりなのか?』
「テレポートは使わないでおこう」
口の中でそう呟いて、サガは一方的に電話を切った。あの執事と喋ると妙に疲れる。
「さて」
サガは椅子から立ち上がると脱ぎ散らかしていた服を集め、身につけ始めた。
いくら何でも、アテナの部屋に全裸では行けない。
……アイオロスは半裸で教皇の間にやってきていたが。
スーツとシャツを身につけ、きっちりとネクタイを締めたその姿は、まさにヤングエグゼクティグといった風情だ。
しかし、この時サガは、あることを忘れていた。
普通の人間なら絶対に忘れることは無いのだろうが、サガは日頃の習慣のせいか、あまり気にすることは無かった。
廊下から軽くドアをノックする。
「誰ですか?」
女性の声で、誰何の問い。
「サガです」
「お入りなさい」
すぐにドアが開き、サガが姿を見せる。
アフロディーテの華やかな美貌とは違うが、サガもかなりの美形だった。
男性的な整った容貌で、すれ違った人間の8割は彼の姿を見て振り向く。
辰巳はそんなサガの姿を見る度、少々苦々しい思いに囚われる。
サガにしてもアフロディーテにしても、容姿も良くて、聖闘士だから腕っ節も自分よりはるかに強くて、しかもビジネスマンとしての実務能力も高い。
よく、天は二物を与えずというが、そんなのは嘘だと辰巳はサガたちを見ていて思うのである。
さて、そのサガ。
作品名:NAKED TRUE(未完) 作家名:あまみ