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忘れないでいて【if】2〜BIRTH DAY〜

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たった数ヶ月とは言え、幾度も死線を潜り抜けたアムロは、経験と実力を身につけ、更に完全に覚醒したニュータイプ能力によって、あの乱戦でもそれなりの余裕と冷静さを保っていたのだろう。
まだ子供だったアムロがそれを身に付けてしまっていた事に、アポリーは悲しさと同情を感じずにはいられなかった。
手に持ったグラスの中の氷を見つめて小さく溜め息を吐く。
「お陰でアイツを恨む事が出来なくなっちまった」
「はは、そうだな」
ロベルトもアポリーと同じ様な事を思いながらも明るく答える。
「しかしまぁ、今回はアイツが味方で本当に良かったよ」


◇◇◇


 自室へと戻ったアムロは、何故か一緒に部屋に入ってきたクワトロに視線を向ける。
「どうして貴方まで僕の部屋にいるんですか?」
「先ほどのエマ中尉の言葉を聞いて、どうしても君に伝えたくなってな」
「え?エマ中尉の言葉って…十八歳なら結婚が出来るって言うアレですか?」
「ああ、そうだ」
クワトロはそっとアムロの左手を取り、その薬指に口付ける。
「アムロ、今すぐにリングは用意できないが、いずれ必ず用意しよう。その時はこの指にはめてくれるか?」
「え?」
「マリッジリングだよ」
「マリッジ…って!」
「どうだろうか?」
顔を真っ赤にして驚くアムロにクワトロが答えを強請る。
そしてもう一度薬指にキスを贈れば、ビクリと身体を震わせながら、小さくコクリと頷いてくれる。
「ありがとう…」
耳元で囁けば、その耳まで真っ赤に染まる。
「アムロは可愛いな…」
「可愛いって…!」
思わず顔を上げたアムロの唇を、クワトロが自身の唇で塞ぐ。
「ん…んん!」
触れた唇から、クワトロの激しくも熱く優しい思惟が流れ込んできて、アムロは身体の力を抜くとクワトロに身体を預けて口付けに応える。
長い長い口付けを受け、呼吸もままならないアムロはそのまま意識を手離した。
そんなアムロを抱き留め、聞こえないと分かっていながらも耳許で囁く。

「もうすぐ私の誕生日だ。その時には君が欲しいな…」


end