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　瞠目して俺を凝視するアーチャーにバツが悪い。
　だけど、何を言えばいいのかもわからないのに、その言葉はするりとこぼれていった。
　俺にはもう、この想いしか残っていない。
　このカルデアで、俺の過去は何もない。
　必死に生きた世界には、二度と戻れない。
　会いたい人とはもう、話すらできない。
　だけど、アーチャーがいる。
　ここに、アーチャーが……。
「アンタが……好き…………、俺は…………アンタが……っ……」
　どうして、涙がこぼれるんだろう。
　アーチャーに情けないところを見られたくないのに、涙腺が壊れてしまったみたいに、ぼろぼろ水が溢れて目尻を伝う。
「ああ、わかった。もう、わかったから……」
　泣かないでくれ、とアーチャーは両手で俺の頬を包んで、目尻の涙を拭った。


BLUE MOMENT　１６　　了（2019/11/14）