二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

miss you 6

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 

そして、そこでジョルジョを待ち構えていた男からエレカのキーを受け取る。
「ご苦労だったな、ジョルジョ・ミゲル中尉」
「ホルスト参謀、約束は分かっていますね」
「ああ、これでその女は君の物だ」
ジョルジョの腕の中で眠るアムロに視線を向けると、ネオ・ジオンの文官であり、シャアの政治面における右腕、ホルスト・ハーネス参謀がニヤリと笑う。
「ところでジョルジョ中尉、先ほど大佐が言っておられた事は本当か?」
「大佐が?」
「その女が大佐の子を身篭っていると言うアレだ」
ホルストの問いに、ジョルジョが顔を顰め、唇を噛み締める。
「……本当です」
シャアのあの言葉は嘘では無く事実だった。
先日アムロが受けた健康診断でその事実が判明したのだ。まだ初期であり、アムロ本人も自覚は無い。
 このままアムロがネオ・ジオン内でシャアの子を産めば、シャアの伴侶として自分には手の届かない存在になってしまう。
それだけはどうしても我慢が出来なかった。
だからこそ、アムロの存在を疎ましく思っていたホルストに話を持ち掛け、この計画を実行する事を決めたのだ。
シャア・アズナブルの子を宿していようとも、愛するアムロを自分のものにしたかった。
自分でも、愚かで浅はかな事をしているのだと言う自覚はある。それでも、心を偽る事は出来なかった。
「そうか…全く、なんて嘆かわしい事だ!」
ホルストが吐き捨てるように言い放つ。
「ホルスト参謀?」
「神聖なるジオンの血に汚れた連邦の白い悪魔の血が混じるなどあってはならん。カイザスがこの女との子を作れなどと大佐に言うからこんな事になる!少し歳は離れているが、ミネバ様が大佐の伴侶になればザビ家の再興にもなると言うのに!」
ホルストはネオ・ジオン内でも、ザビ家に傾倒している一派で、シャアが望んでいないと知りつつも、内心ではザビ家再興を願っている。
「ホルスト参謀…、何を言っておられる?」
「その女に大佐のお子を産ませる訳にはいかん」
そう言いながら、アムロに向かって銃口を向ける。
「ホルスト参謀!話が違う!自分とアムロがネオ・ジオンから去ればアムロの命は奪わない約束だ!」
ネオ・ジオン内のホルストの一派は、シャアがアムロを重用する事に不満を感じていた。
アクシズを地球に落とす、地球寒冷化作戦をシャアが取り止めようとしている事に反感を持ち、それをシャアに口添えしているであろうアムロの暗殺を目論んでいた。
それを察知したジョルジョは、自分がアムロを連れてネオ・ジオンから去るからと、暗殺を止めるようホルストに働きかけてこの計画を実行したのだ。
「状況が変わった。その女が大佐のお子を身籠るなどあってはならん事だ。子が産まれる前に始末せねばならん」
「子供は自分の子として育てます!今後一切ネオ・ジオンには近付かない!ですから命は!」
「そんな口約束など当てにできんよ。ジョルジョ・ミゲル中尉」
冷酷な言葉と共にホルストが銃を放つ。
「止めろ!」
ジョルジョは咄嗟にアムロを自身の身体で庇う。
しかし、数発発射された弾丸はアムロの腕と髪を一房撃ち抜き、真っ赤な血と赤茶色の髪が飛び散る。
「あうっ!」
激しい痛みに意識を取り戻したアムロは、自分に覆い被さるジョルジョの荒い息遣いに驚きながらも状況を把握しようと、まだ霞む目を必死に開く。
しかし、ジョルジョの胸に抱き込まれて何も見えず、身動きも取れない。
「ジョルジョ…何が…」
アムロが声を発したその瞬間。
また数発の銃声が鳴り響き、ジョルジョの呻き声と共にジョルジョの身体を貫通した銃弾がアムロの肩に激しい痛みを与えた。
「ぐぅああ」
「ああっ」
激痛に踠きながらも、ジョルジョの背に手を回せば、ぬるりとした感触。
「ジョル…ジョ…!」
そして、カチャリと再び銃を向ける音が響く。
「離せ!ジョルジョ!ダメだ!」
必死にジョルジョを引き剥がそうとするアムロの耳元で、ジョルジョが掠れた声で囁く。
「ごめん…アムロ…君を…守れな…」
「ジョルジョ!離して!」
ホルストが引き金を引こうとした瞬間、誰かの叫び声が聞こえる。
「そこで何をしている!」
「チッ!」
ホルストの舌打ちと共に数人の男たちが立ち去る足音が聞こえる。
そして、こちらに駆け寄る足音。
それは軍人のそれで、アムロは助かったと思いつつも、自分を抱き締めるジョルジョから流れ落ちる血にドクドクと心臓の音が早鐘の様に耳に響く。
「ジョルジョ…ジョル……!」
返事の返ってこないジョルジョに、アムロの不安が溢れ出す。
「嫌だ!ジョルジョ!ジョルジョ!」
意識が既に無いであろうジョルジョの腕は、それでもアムロを強く抱き締めて離さない。
「ジョルジョ!」
血に塗れた二人に先ほどの声の主が駆け寄ってくる。
「大丈夫か!直ぐに医者を!」
そう言いながらジョルジョの身体をそっと抱き起こす。
そして、その腕の中に守られる様に抱かれていたアムロに気付き、息を飲む。
「アムロ⁉︎」
自身も銃弾を受け、痛みに震えるアムロはその声の主へと視線を向ける。
霞む視線の先に見えたのは、懐かしい戦友の顔。
「ブライ…ト…」
アムロは痛む傷口を押さえながらも、必死に身体を起こしてジョルジョへと顔を寄せる。
「ジョルジョ…?」
血に濡れた手でその頬を撫でれば、ジョルジョの瞳がゆっくりと開かれる。
「ア…ムロ…」
「ジョルジョ!」
ジョルジョもゆっくりとアムロの頬に手を添え、震える唇でもう一度アムロの名を呼ぶ。
「アムロ…ごめ…ん……泣か…ないで…」
「ジョルジョ…」
アムロの琥珀色の瞳から、涙がポロポロと溢れ出しジョルジョの頬に落ちる。
「最後の…お願い…だ…キス…して…くれ…る?」
アムロの涙を拭いながら、ジョルジョが小さく笑う。
「最後なんて言わないで!キスなんていくらでもするから!」
「ふふ…ありが…と…」
ポロポロと涙を流しながらも、アムロがそっとジョルジョにキスをする。
唇を離してその顔を見つめると、ジョルジョが優しくアムロを見つめ返す。
そして嬉しそうに微笑み、血で真っ赤に染まった手でアムロの頬を優しく撫でる。
アムロはその手を上から受け止めジョルジョを見つめる。
「ジョルジョ…」
「アム…愛して…る…」
その言葉を残し、ジョルジョの翡翠色の瞳が閉じられた。

「ジョルジョ!」

to be continued.


作品名:miss you 6 作家名:koyuho