はじまりのあの日~一夏の恋の物語1~
午前八時十五分
勢いよく湯気たつ白飯(はくはん)電子ジャーを開けて混ぜる。豆腐ネギと油揚げ、大根。揚げ茄子とオクラの味噌汁。めだまやき。中央には、ウインナー炒め、漬け物各種。デザートには、フルーツヨーグルト。飲み物は、麦茶、野菜ジュース牛乳。それぞれお好みで
「~ぁ、おなか空いちゃったぁ、ぽ父さん」
「うちも~、カイト『おかあさ~ん』」
「「よしよし待ってて、子供達~」」
ユキのご意見、Mikiの催促。おとん、おかん(お父さんお母さん)よろしく盛り付け
「ご飯の盛り宣言しようじゃな~い」
「神威君、アタシ少なめで。おかわりしたいから~」
「あ、ウチもメー姉と同じ。おにぃ、お願いっ」
少なめでおかわり派、メイコ、リリ。熱々ご飯で食べたいじゃない
「拙者、特盛りでっ。カイト殿、汁も同様、願うデゴザ~ル」
「自分、味噌汁だけ大盛りたのむスっ、ごはんは普通で。さっき超美味そうだったっす」
大盛り宣言、ガタイ見たまんまだよな、アル。勇馬、おかず味噌汁見たじゃない
「にいさま、ぼくはおおもりで」
「にゃ、あたしも~、ぽ~に~さ~ん」
リュウトといろはが大盛りじゃない。ご飯茶碗、各々大きさが違う。天使組は大人より、一回り小さい
「がく兄、おれも大盛り。汁も多めで、カイ兄」
「がくさん、わたしも~。お味噌汁は並で~、カイ兄」
「どちらも少なめでお願い致しますわぁ~」
レンミクルカ、盛りのサイズはバラバラ。まぁ、学生の方が食べるじゃない。良いことだぞ~。ルカ、盛りは少なめだけど、おかずは沢山食べたい派
「ミ~ク、良いけどさ、なんでこんなトコロ撮ってるの」
撮影してたのか、ミク。隣でカイトが眉下げる。確かに、日常の光景じゃない、ご飯を盛るなんて。って思ったら
「だ~って、普段ならこんな風に、全員揃った朝ご飯無理だも~ん」
言われてみればそうじゃない。休日だけの幸せごはん。メンバーが増えて、仕事も忙しくなって、日常、こんな賑やかごはんは出来なくなった
「休日は、た~くさん撮って、思い出残さなきゃ。昨日そう思ったの~。撮影係、張り切るよっ。去年の誕生日にもらったメモリーもまだまだ残ってるからっ。だいじょ~ぶ、ま~か~せ~てっ」
中々に、嬉しいこと、言うじゃない。ならミク
「その思い出映像の中には、お前も入るんだぞ、ミク。俺達の歌娘。自撮りの静止画だけじゃない、動画の方も、な。アングル気を使え~、番記者さま~」
「おっけ~がっくさ~ん」
お前が入らずして、何がボカロファミリーじゃない。総てに捧ぐ歌娘、総てのきっかけの子。小さなソノ身体で受け止めるには、あまりにも大きな期待と不安。受け止め続けた、偉大な娘
「では、拙者モCameraman(カメラマン)を引き受けるでゴザル。Angle(アングル)ナドはミク殿に及ばぬガ、撮影は拙者モ出来る事デゴザルヨ」
海を越えやって来た黒船は、ただ、人のためにやって来たじゃない。役に立てるよう、心優しい、巨人New Yorker(ニューヨーカー)国境も思想も越えて。俺達のPROJECT、思想の大黒柱。俺達自身が体現
「そうだね、オリバーくん。言われてみたら。特別だね~」
「ミンナデごはん。ぼくたのしいです~」
何もかもが違う俺達。ここで平和に、朝ご飯。胸が暖かくなるじゃない。盛ったご飯、注いだ味噌汁は、メンバー(子供達)の手渡しで、各位の元へ
「ゎ~今日もぉいしそ~ぅ」
「自分もコレが無いと、一日始まらねっす」
IA、今日も余る萌え袖パタる。勇馬、腰を降ろして、食いつく勢い。全員に味噌汁が行き渡った所で着席
「わ~作っておいて、かもだけど、美味しそうだね、がっくん」
「美味しいじゃな~い。特に、リンが手伝ってくれてるから、俺には最上の食卓~」
好きな人と、好きなものを、好きなように食べる。イイじゃない、孤独ご飯より、俺はこの方が好み。一人ご飯も『楽しめる』けどさ。リンとごはん、みんなで朝ご飯
「ふふっ、ほ~んと、仲良しねえ、神威君とリン。さ~ぁ、みん~なぁ。今日のご飯様に感謝して~」
大家族長女、女王陛下の御発声、思い思い、祈りを捧ぐ
「「「「「「「「「「いただきま~す」」」」」」」」」」
始まった、穏やかで賑やかな朝食
「やっぱ二人のごはん。落ち着くわ~。ありがと、カイト、神威君」
味噌汁を、一口含んでメイコ。女王様のお墨付きをいただく
「もぅこれないと、一日が始まんないよ、神威のに~さん」
「朝はパンよりごはんってなったの、かむいのせいだぞ~」
「お味噌汁は、一日の意識を覚醒させますね」
IA、お気に召すなら何よりじゃない。俺のせいか、重音、どんなもんよってカンジじゃない。パン好きを、ご飯好みに変えてやった。テルも、和洋混交派だった。今では和派、食事は。甘味は洋物派だけど
「この半熟メダマヤキ、極めてデござる。やはりショウユが好みでゴザルナ」
「わたし、全熟にお塩~。赤味噌のお味噌汁もたまんな~い。コレだけで、充分おっかず~(おかず)」
「自分、中間、ケチャップで。糠漬けも旨っ、白飯進むっす~」
めだまやきの好み、アル、ミク、勇馬が告げてくる。以外に合う、ケチャップ。チリソースも合ったりするじゃない。アル、大盛りごはんの上載せる。それに醤油をかけ、めだまやきを少しずつ崩して、混ぜ込む食べ方。ミクの食べ方は、白身を先に食べ、最後に黄味をご飯と。勇馬は時々に、ケチャップを掛けながら。黄味はちょこちょこと食べる
「ケチャップウインナーおいしいよ、カイトアニさん」
「タコさんのウインナー、おいいしいよ、ぽ父さん」
Miki、ユキが嬉しそうじゃない。いや、美味しそうのがいいか。あ、い~ろ~は
「子猫ちゃ~ん、お砂糖入れすぎないように~」
「だぁ~って、甘い方がおいしいも~ん」
糖質『取り過ぎ』になるじゃない。山盛りお砂糖、牛乳にぶち込もうとしてた。俺注意、いろは、眉を下げる。困り顔されれば、弱いじゃない、俺
「今日の朝は、砂糖スプーン、二杯まで~」
「に~ゃ~、ありがとう、ぽ~にい~さ~ん」
「牛乳の前に、野菜食べてね、いろはちゃん。吸収が緩やかになるよ」
おとん、おかんのようなやり取りする、俺カイ・フ夫婦
「おみおつけ、赤だし、揚げ茄子、うまうまうま」
「ウチ、ごはん、おっかわり~。お、オリバー、茶碗空じゃん。おかわりいくか~」
カル、おかず味噌汁、効果絶大。実際天使様の一番のおねぇは、リリ。妹ながら、良く気づかってあげるじゃない。オリバーの頭撫で回す、リリ
「オネガイリリチャン。しろいごはん、メザメタッ。おつけものダケデモイケマフ」
オリバー、きちんとおかず食べろ~。しっかり食べて、大きくなって
「ほんと、いつもありがとね、がっくん。どれも美味しいよっ」
「ありがとうにいさま」
「おまえ達の笑顔が最高のお返じゃな~い。特にリン、ありがと、大~好き。カイト、今日の朝ご飯も至上じゃな~い」
「嬉しいよ、みんな。美味しそうに食べてくれて、ありがとうね~。だね、殿。さいっこう(最高)の幸せご飯」
ありがとう、未来の奥さん。リュウト、おりこうさんの応えに、マブダチと共に返す
作品名:はじまりのあの日~一夏の恋の物語1~ 作家名:代打の代打