檻2
「ん……」
カタカタとキーボードを叩く音以外の無い、静かな部屋で小さな声がする。そのささやかな音すら、帝人はその耳で拾うと意識が浮上しようとしている臨也の様子を確認しようとキーボードを叩く手を止めベッドの上で拘束したままの姿を見つめる。臨也の瞼がピクリと震え、ゆっくりと開くのをじっと見つめたまま無言で待つ。
「ここ…は…?」
かすれた声で自問するように呟いた臨也の声を聞くと、自分の存在を気付かせるように帝人はゆっくりと立ち上がる。
「帝人君……?」
臨也の焦点のあっていなかった目が帝人の姿を認識すると、バチッと音がするほどの勢いで目を開く。
「帝人君……、ひとつ聞いてもいいかな?」
目を開けたと同時に身じろぐと、臨也は背後で腕に手錠をかけられていることに気付き、無駄な体力消耗は避け静かに声をかける。あまり表情を変えず冷めた目を向ける帝人が淡々とした返事をするのを聞くと再び口を開く。
「青葉君がオレのところにきたのももしかして君の差し金かな」
「もしかして、なんて言わなくても確信されてるんでしょう?」
帝人は遠まわしに臨也の気づいている通りだと答えると小さく笑いをもらす。
「さっき一度目を開けたの覚えていますか?」
帝人の脈絡のない問いかけに浮かぶ臨也の疑問の表情に楽しげに目を細める。
「僕のことも青葉君に閉じこめられてるのかって言ったんですよ」
薬で強制的に与えた眠りによって思考力が落ちていた臨也の姿を思い出すだけで笑いが込み上げ、冷ややかに唇の端だけを歪める。ゆっくりと臨也の様子を見ながらベッドへと近付き、腰を下ろし完全に意識の戻った臨也の頭を撫でる。手付きは優しくありながらも人ではない生き物を撫でているような感覚に、臨也は不快に思い頭を振って帝人の手を退かせる。
「喉、渇いたんだけど」
あまり表情を変えず淡々とした口調で話し続ける帝人の得体のしれなさを不気味に思うと、少しの時間でも1人になりたくて告げる。
「ああ、気付かなくてすみません。すぐに持ってきますね」
臨也に拒絶され退けられた手を帝人は残念そうに見るがすぐに頷いて立ち上がると、一度だけ頭を撫でなおして部屋を出る。
カタカタとキーボードを叩く音以外の無い、静かな部屋で小さな声がする。そのささやかな音すら、帝人はその耳で拾うと意識が浮上しようとしている臨也の様子を確認しようとキーボードを叩く手を止めベッドの上で拘束したままの姿を見つめる。臨也の瞼がピクリと震え、ゆっくりと開くのをじっと見つめたまま無言で待つ。
「ここ…は…?」
かすれた声で自問するように呟いた臨也の声を聞くと、自分の存在を気付かせるように帝人はゆっくりと立ち上がる。
「帝人君……?」
臨也の焦点のあっていなかった目が帝人の姿を認識すると、バチッと音がするほどの勢いで目を開く。
「帝人君……、ひとつ聞いてもいいかな?」
目を開けたと同時に身じろぐと、臨也は背後で腕に手錠をかけられていることに気付き、無駄な体力消耗は避け静かに声をかける。あまり表情を変えず冷めた目を向ける帝人が淡々とした返事をするのを聞くと再び口を開く。
「青葉君がオレのところにきたのももしかして君の差し金かな」
「もしかして、なんて言わなくても確信されてるんでしょう?」
帝人は遠まわしに臨也の気づいている通りだと答えると小さく笑いをもらす。
「さっき一度目を開けたの覚えていますか?」
帝人の脈絡のない問いかけに浮かぶ臨也の疑問の表情に楽しげに目を細める。
「僕のことも青葉君に閉じこめられてるのかって言ったんですよ」
薬で強制的に与えた眠りによって思考力が落ちていた臨也の姿を思い出すだけで笑いが込み上げ、冷ややかに唇の端だけを歪める。ゆっくりと臨也の様子を見ながらベッドへと近付き、腰を下ろし完全に意識の戻った臨也の頭を撫でる。手付きは優しくありながらも人ではない生き物を撫でているような感覚に、臨也は不快に思い頭を振って帝人の手を退かせる。
「喉、渇いたんだけど」
あまり表情を変えず淡々とした口調で話し続ける帝人の得体のしれなさを不気味に思うと、少しの時間でも1人になりたくて告げる。
「ああ、気付かなくてすみません。すぐに持ってきますね」
臨也に拒絶され退けられた手を帝人は残念そうに見るがすぐに頷いて立ち上がると、一度だけ頭を撫でなおして部屋を出る。