檻2
「ありがとう、って言うべきなんだろうね」
どの程度までの軽口なら許されるのか、帝人の様子を見ながら話し始める。
「それにしても帝人君も物好きだよね。俺を知っててそれでも好きって言う人間を初めて見たよ」
丁寧に髪を乾かす帝人の手つきに、眠気を誘われながらも途切れさすことなく話し出す。怒ることもなく臨也の話をにこにこと聞いている帝人の手が、乾いた髪を掬い口付ける。
「そんなことして楽しいのかい?」
不快な訳ではないが帝人の考えが読み切れずに声に出して尋ねる。
「もちろん。こんなに魅力的な臨也さんに触れられて嬉しくないわけないですよ」
小さくわらって告げると臨也の髪をかきあげ露わになった首に巻きつけている首輪を舐める。濡れた感触にびくりと体を震わせ、上半身を捻って避けると帝人を見上げる。
「やっぱり帝人君に襲われちゃうのかな?」
ふざけた様子で問いかけながら、必死に頭を働かせ回避する方法を考える。
「臨也さんの同意もなしにそんなことしませんよ」
ドライヤーの電源を落とすと湿ったタオルを手に立ち上がると、他に忘れ物がないか室内を見回し確認してから臨也へと視線を戻す。
「臨也さん、愛してます。。朝になったらご飯を持ってきますから、それまでゆっくり休んでいてください」