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miss you 9

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miss you9


《一分後にアクシズに接触、上陸班スタンバイ!モビルスーツ隊出撃!》
νガンダムのコックピット内にオペレーターの声が響く。
「モビルスーツ隊出るぞ!」
カタパルトデッキから飛び出していくνガンダムに続き、援護のモビルスーツ隊も出撃して行く。
その直後、爆破部隊のプチモビが次々とアクシズ内部へと侵入する。
その先頭を切るのはブライトだ。
まさか艦長自ら爆破部隊に加わるとは思っていなかったが、現地で直接指示を出すと言い張ったブライトに、とうとう根負けしたメランが艦橋で指揮を取る事になった。
メランはモニターに映るプチモビ部隊を心配気に見つめ、意を決すると顔を上げ真っ直ぐに前を見据える。
「よし!爆破部隊が帰ってくる場所を無くすわけにはいかん!迎撃用意!撃て!」

 プチモビ部隊を援護しつつ、νガンダムのアムロは戦場の様子を伺う。
「やっぱり動きが鈍い…レズン少尉やギュネイが出てない?」
通常ならば最前線に出てくるはずの二人の不在に、アムロはシャアが事を起こそうとしているであろう事を察する。
「何をする気だ、シャア!」


 レウルーラの艦橋では、シャアが肘をついてモニターに映し出される戦場の様子を眺めていた。そしてふと、アクシズが映し出されたモニターに視線を移しピクリと眉を動かす。
『来たか…』
心中でそう呟くと、艦長のライルにチラリと視線を向ける。それに気付いたライルは、ホルストに気付かれぬように瞬きで応えると副官へと指示を出した。
数分後、攻撃を受けたのかレウルーラが激しく揺れる。
「うわぁ!何事だ!被弾したのか⁉︎」
激しい揺れに、ホルストやシャアを取り囲んでいた兵士が床に倒れる。
その瞬間、艦橋内に兵士が雪崩れ込み、その者達を包囲する。
「何だと!」
思わぬ状況にホルストが声を上げるのを、ゆったりとした動きで席を立ったシャアが見下ろす。
「ホルスト、遊びは終わりだ」
「大佐!」
「お前の言いたい事は分かるが、今は連邦と事を構える時では無い」
「何を仰る!今動かずしていつ動くのですか!貴方もそのつもりで準備を進めてきた筈だ!それなのに!あの女が現れた途端貴方は考えを変えてしまわれた!」
「…そうだな。確かに、アムロが現れた事で私の心や考え方に変化があった事は確かだ。アムロが私に違う道を指し示してくれた」
「それならば!あの女はもうおりません!また元の大佐にお戻り下さい!」
「私からアムロを奪ったのはお前ではないのか?」
「…さて?何のことですかな」
シャアの凍てつくような視線を受けながらも、ホルストは平然とシラを切る。
「私はさっき、お前がアムロを撃ったのか?と聞いたな?」
「ええ」
「アムロが襲われ、行方不明なのはお前にも報告が入っていただろうが、撃たれたとまでは報告を受けていなかった筈だ。しかしお前は“撃った”という私の言葉をすんなりと受け止めた。それはアムロが撃たれた事を知っていたからではないか?」
「だから何だと言うのですか?」
「何だと?」
シャアが怒りの篭った視線を向ける。しかし、それに構う事なくホルストが言葉を返す。
「あの女はネオ・ジオンにとって忌むべき存在、その女を葬り去って何がいけないと言うのですか!」
「忌むべきだと?」
「そうでありましょう!あの女はかつて、ジオンを敗戦に追い込んだ連邦の兵士です!ニュータイプ能力をあろう事かアースノイドの為に使い、我等を窮地に追い込んだのです」
「過去の事だ。それにアムロだけの力ではあるまい」
「いいえ!あの女はネオ・ジオンにとっては死神の様な存在です、その女がよもや大佐のお子を宿すなどあってはならない!私とて、その事実がなければジョルジョ中尉の申し出通り命までは取らないつもりでした」
「ジョルジョの?」
「ええ、あの男はネオ・ジオンからあの女を連れ出し、己のものにしようとしておりました。大佐を裏切ったのですよ」
そして、忌々しそうに呟く。
「あの男がいなければ確実にアムロ・レイを殺せたものを!」
「ホルスト!」
今まで静かに会話をしていたシャアが激昂する。
それでも、ホルストは怯まず言葉を続ける。
「あの女もジョルジョ中尉とは満更でもなかった様ですよ!大佐、いい加減に目を覚まして下さい!」
「いい加減にしろ!ホルスト!」
「私を処分しますか?良いでしょう!しかしもう遅い、アクシズは動き始めました。もうすぐ引力に捕まって地球に落ちます!我々の悲願が叶うのです!」
地球に向かって加速を始めたアクシズを指差してホルストが高笑いをする。
それを見つめ、シャアが小さく笑う。
「そう簡単にいくかな?ブライト・ノア率いるロンド・ベルをあまり甘く見ない方がいい」
「引力に捕まった隕石を止める事など誰にも出来ますまい!」
「どうかな?」
シャアがニヤリと笑ったその瞬間、アクシズが爆音を上げて破れていく。
「何だ⁉︎」
驚いてモニターを見上げるホルストの横で、シャアがフッと鼻で笑う。
「ブライトめ…アクシズを半分に破ったか…」
「なんて事だ…」
茫然とその光景を見つめるホルストの横でオペレーターが声を荒げて叫ぶ。
「アクシズ!半分に破れました!前方部分は地球の軌道から離れます!しかし!」
「しかし?」
「後方部、このまま引力に捕まって落下します!」
「何だと!」
「爆破の勢いで地球の落下軌道に乗りました!」
モニターに算出されたアクシズの軌道が表示される。
それを見つめ、シャアが舌打ちをするとホルストがククっと笑い始める。
「大佐、私の勝ちですな!半分とは言え、あの規模の隕石が落ちれば地球に大規模な被害を与える事が出来る!愚かなアースノイドは我々の手によって粛清されるのです」
それを忌々し気に見つめていたシャアの視界に、白く光るものが映る。
蒼いスラスターの光を従え、真っすぐにアクシズに向かう白い光。
その光に、シャアは大きく目を見開く。
「…アムロ⁉︎ 中央のモニター!あの白い光を拡大しろ」
モニターに映し出されたのは白いモビルスーツ。片翼で流れる様に宇宙を駆けるその姿に、シャアは元より、艦橋のクルー達が息を飲む。
「機体識別確認、RXー93 νガンダム!パイロットは…アムロ・レイ!」
「アムロ!」
「νガンダム、アクシズの前方に取りつきました!アクシズを…押し返している模様!」
「何だと!馬鹿な!モビルスーツで落下する隕石を止められるものか!」
「ふふふはははは!愚かな!このままあの女諸共地球に落ちるがいい!」
シャアは笑うホルストの胸ぐらを掴んで壁に叩き付けると怒りを込めて睨み付ける。
「黙れ!ホルスト」
「ぐわぁ!」
そのまま意識を失ったホルストの身体を放り出し、ドックへと指示を出す。
「サザビーで出る!準備しろ!ライル!ここは任せる!」
「はっ!」
シャアはマントを取り去ると、ライルに背を向けドックへと向かった。


 その頃、ラー・カイラムでも、この状況に気付き艦橋が騒めいていた。
「何故だ!軽くなって落ちない筈だ!」
「爆破の威力が強すぎたんです!」
ブライトの叫びにメランが答える。
「クソっ!」
拳を叩きつけ、ラー・カイラムでアクシズを止めろと叫ぶブライトをメランが必死に宥める。
作品名:miss you 9 作家名:koyuho