BLUE MOMENT18
Tシャツとボクサーパンツだけになったのを見計らったように、アーチャーが抱きついてきた。こういう感じは久しぶりだからか、なんだか、すごく恥ずかしい。
(添い寝だけで、今まで全然、そんな素振りなかったのに……)
もうヤる気なんかないんだと思っていた。そういう気分にはならないんだと、勝手に思っていた。
「あ、あの、アーチャー、す、するの、か?」
「ああ」
「じゃ、じゃあ、なんで、今まで、」
「お前の体力が戻るのを待っていた」
「…………」
スタミナをつけろって言ってたの、あれ、本気だったんだな……。
でも、ちょっと待ってくれ。
いきなりすぎる。
俺、なんの準備もできてない。特に心の準備が……。
いつもと変わらないはずだった。
今日もアーチャーは俺の間借りする部屋で俺に添い寝をするんだと、そう思っていた。
なのに……。
熱い手が胸元をまさぐる。反対の手が脇腹を滑り下りて、下着のウエストゴムの中に指が入ってきてる。
少しでも時間稼ぎがしたい。だから渋ってみる。
「あの、ま、まだ、風呂に、」
「ああ、気にするな。私が入れてやる」
「い、いやいやいやいや、いいって!」
「遠慮するな」
藪蛇だった……。
にっこりと笑みを浮かべているアーチャーの顔は、なんだかとても、恐かった。
BLUE MOMENT 18 了(2020/1/29)
作品名:BLUE MOMENT18 作家名:さやけ