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その先へ・・・4

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その時……
ドアの向こうが妙に騒がしくなった。
「イワン!まぁ、どうしたの?」
「すみません、ガリーナ。こちらに同志アレクセイがいるって聞いて。あの、いますか?」
「え、ええ……。いるんだけど……。今ちょっと……」
「すみません、緊急事態なんです。すぐ同志アレクセイを呼んで来いと、皆に言われまして」
ガチャ……
奥の部屋からアレクセイが厳しい顔で現れた。
「どうした?緊急事態とは?」
「あれ?どうして奥の部屋に?そこはユリウスの……。え?あの……」
自体が呑み込めていないイワンが奥の部屋をのぞき込むと、ベッドの上には真っ赤な顔をしたユリウスがうつむいて座っていた。
「え?へっ!?わ!!わわ!そういう……。あ、す、すいませんっ!!」
腰を90度に折って頭を下げたイワンであったが、アレクセイは続きをせかした。
「いいから!で、どうしたんだ?」
アレクセイは厳しい顔でイワンに迫った。
イワンは女性達には聞こえない様に、アレクセイの耳もとに囁いた。

途端にアレクセイの顔が更に厳しくなる。
「至急集合する様に、との事です」
「わかった。……ガリーナ、すまなかったな」
「あ、ええ。気を付けてアレクセイ。あら、ユリウス?ユリウス、早く!」
慌てて走り出てきたユリウスは、アレクセイをじっと見つめていた。
「アレクセイ」
「……またな」
コートをかけたアレクセイは急ぎ足で階段を数段降りて行ったが立ち止まり、急いで戻ってきた。
「?」
きょとんとしたユリウスの前に立ち、アレクセイは自分が羽織っていたコートを脱いでユリウスに着せた。
「お前が着ているコート、ズボフスキーのお古だろ?」
その通りだった。
真冬のコートを持っていないユリウスの為に、ガリーナが夫の着古したコートのサイズを直してやったものだった。
「……今度からこれを着ていろ」
照れ臭そうにそう言って、自分のコートでユリウスをすっぽりとくるんでやった。
二人は少しの間見つめあったが、アレクセイは何も言わずにそのまま階段を下りていった。
「あ、アレクセイ!!そんな恰好じゃ……」
ユリウスの声に振り向く事無く片手を上げてこたえて、アレクセイとイワンはあっという間に階段を駆け下りていった。
ユリウスはアレクセイのぬくもりと香りが残るコートにしばらく包まれたまま、彼が降りて行った先を見つめていた。


                                        (その先へ……5へ続く)









作品名:その先へ・・・4 作家名:chibita