miss you 【番外編 シャア&アムロ編】
アムロのお腹に手を当て優しく抱き締める。
「うん…うん…そうだね…」
琥珀色の瞳に涙を浮かべながら、アムロはシャアの胸に縋り付き、何度も頷いた。
◇◇◇
それから数年後、スペースノイドの絶対的な支持を受けたシャア・アズナブルは、スペースノイドの代表として連邦政府と対等に渡り合い、まだまだ完全なる独立自治とは言えないが、それぞれのコロニーが徐々に地球連邦政府からの独立を成し遂げて始めていた。
「シャア、そろそろ時間だ」
ネオ・ジオンの制服を身に纏ったアムロが、シャアの総帥服の上着を手に執務室に入ってくる。
「ああ」
「今日は午前中にロンデニオンで連邦の高官との会談の後、モビルスーツ隊の合同演習があるからそれを観覧、その後レセプションがある」
「君もその訓練に参加するのか?」
「ん?ああ、でもメインはレズン少尉の隊だから私はその補助程度だよ」
「それでも君がモビルスーツを駆る姿が見られるのならば充分見応えがある。出来れば私も参加したいのだが…」
「残念だけど、貴方には連邦のお偉方の相手をしてもらわないと」
アムロの言葉に、シャアが露骨に不機嫌な顔をする。
「仕方ないだろ、貴方とは今度サザビーのテスト飛行に付き合うから」
「本当だな?」
「ああ、約束する」
「…なら良い…」
少し拗ねながら渋々頷くシャアに、アムロはクスリと笑い、後ろから逞ましい腕に総帥服の袖を通す。
そして、そっとその広い背中をポンっと叩く。
「貴方にはやっぱり赤が似合うね」
そんなアムロに振り返り、パーソナルカラーである白を基調とした制服を纏うアムロの姿を、シャアが優しく見つめ返す。
「君には白が良く似合う」
「ふふ、ありがとう」
二人は見つめ合い、そっと唇を重ねる。
「さぁ、行こうか」
「ああ」
いつか、アースノイド、スペースノイドの垣根を越えて、人類が解り合える日が来る事を願い、二人は歩み続ける。
長く険しい道を互いに支え合いながら、真っ直ぐに前を見つめて…。
end
「miss you」これにて完結です。
作品名:miss you 【番外編 シャア&アムロ編】 作家名:koyuho