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先生の言葉 全集

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123.生還の条件



 どうしました、真っ青な顔をして。

 聞きたいことがある? 私にわかることならお答えしますよ。でも、その前に体調をどうにかしたほうがいいんじゃないですか。

 毒針を引っ掛けてしまったんだが、治療薬を持っていない? なるほど、そういうことですか。駆け出しの冒険者にとっては毒消しの薬代も高くつきますからねえ。
 なので、毒の状態で帰らなきゃならない、と。ならば、僧侶の方が様子を見ながら回復魔法をちびちび唱えて、あとはもう運を天に任せるんですね。幸運なら街に帰れると思いますよ。

 ああ、僧侶の方の回復魔法も尽きているんですか。そうなると寺院に渡すお布施の用意をしておいたほうがいいかもしれません。うんうん。歩数と体力を見比べた結果、城に上る階段のところでちょうど体力が1になる?
 そんな状況なので、階段を上った時にダメージを受けるのか教えてもらいにきた?

 うーん。それはかなりのレアケースですねえ。城についた瞬間、あなたは生きているのか死んでいるのか……。私もたくさんの冒険者とお話をさせてもらいましたが、こんな状況に陥ったという話は聞いたことがありません。

 ただ、少なくともそこで仮にあなたの命が失われたとしても、寺院の尽力次第ではあなたはまだまだ冒険ができるわけですよね。なので、後学のためにもあなたが体を張って試してみるというのもいいかもしれませんよ。

 分かった、腹を決めてやってみる? ええ。良ければ後日、結果をお伝えしてくれれば幸いです。


 それでは、頑張ってください……。


 さて、記憶が確かならば、階段の移動で毒のダメージは受けないはずです。なので、彼らの計算通りに行けば、あの盗賊は生きて城に戻れるはずです。

 でも、彼らは二つの重要なものごとを見落としていました。

 一つ目はわれわれモンスターの存在。帰りの道中でモンスターに出くわしたら、ターンを経るごとに体力が減ってしまう。仮に逃げたとしても後ろに一歩下がってしまう。それだけでもう彼らの目論見は破綻してしまいます。そういう意味ではキャンプも張れませんね。

 もう一つ。他の冒険者の存在を忘れています。1階にいる状況で街の冒険者に救助を頼めばまず助かるでしょう。パーティの危機で焦るあまり、完全に頭から抜けてしまっているようです。

 彼らが、普通に帰れるか。モンスターに出くわすか。救助の可能性に気がつくか。どうなったとしても、今後の彼らの大きな糧になるんじゃないかと私は思いますよ。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔