先生の言葉 全集
3.優等生
どうも、こんにちは。まだまだ暑い日が続きますね。迷宮ってのはどうしても熱がこもります。やっぱり、幽霊と言えども、あまり気分が良いものではありませんね。ふむ、皆さん、少し前にお会いしましたっけ。最近来ないなぁと思ってました。でもあなた方は、十分「修行」されていったと、お見受けしておりましたけども。
おやおや、先頭の戦士さん。なんですか、回転する刃がついた良い剣をお持ちじゃないですか。さらに、悪の方のみが装備できる鎧まで身につけて。二番手のお侍様、あなたのそれ、あの「ぶき」ですよね。もう、冗談はよして下さいよ。ここは第一階層ですよ。皆さんもうここに来る必要なんかないじゃないですか。もっと下の階層でお会いしましょうよ。できれば道化師の師匠と一緒の時がいいです。それならまだ勝ち目があるってもんです。
なに、後ろの方をよく見ろって?
はあ、後列ですか。おお、最後尾に初めてお会いする方がいらっしゃいます。しかもお若い。あ、そういう事ですか。
えぇ、なになに? いきなり巨人に襲われた。毒のブレス、あー。あれで後衛が全員。何とか逃げ帰ったけど魔法使い、ああ、あの女性。あの方が寺院でもダメだった。
そうですか、それはご愁傷様でした。あの巨人の不意打ちは、手錬れでも厳しいと聞きますから。心中お察しいたします。それで、新たな人員を育てるべく再びここにやってきた、と。なるほど合点が行きました。
新しいその方は、なんと前の魔法使いの弟さんですか。
ほう、血は争えないとはこの事です。
え、ボーナスだけなら弟さんの方が上?
あぁ、お姉さんは頑張り屋でしたからね。不死族を一体、確実に倒す呪文。あれを私にも全力でぶん投げてくるのには辟易しました。あれ、めっちゃくちゃ痛いんですよ。最奥にいる気障な不死族の王も、「あれはいやだね。しかもあれ、ほぼ俺専用の呪文だし」って嘆いてましたよ。
ん? 僕、お姉ちゃんの仇を討つんだ、って?
あー、毒の巨人なら……、あなたが復讐できるいい魔法があります。まあ、でも私たちが動いている世界次第では、効かない可能性がありますけどね。いえ、こちらの話です。何でもありませんよ。
それで、私、友好的なんですけどどうします?
その弟さんが良い奴過ぎるので、鍛えるついでに性格も変えたい?
うーん、ああいうピュアなとこ、失って欲しくないなぁ。でも、仕方がないのかもしれませんね。
じゃ、ひとつお手柔らかに、お願いします。