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先生の言葉 全集

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101.コミュ障



 誰かとパーティを組みたいのに、話しかけるのはおろか酒場にも入れない?

 そりゃあ、相当の重症ですねえ。ここに来るまでに、なにか人間関係にまつわるトラブルでもあったんですか。

 小さい頃からずっと引きこもりで、家から追い出される形で仕方なくこの街にやってきた? なるほど、ということは学校にもあまり行ってないんですね。それじゃ、なかなか他の冒険者とも話ができないかもしれませんね。

 でも、あなた、その格好を見る限りおサムライさんじゃないですか。サムライなんてなかなか就ける職業じゃありませんよ。力や生命力はもちろんのこと、頭もそれなりにいいはずだし、速さもそこそこあるでしょうし。

 そういった能力は自分はあるのかもしれないけれど、肝心のコミュニケーション能力がない? まあ、確かにお話を聞いている限りではそのようですが……。でも、サムライなんて引く手あまたで、いろいろなパーティからスカウトが来そうなもんですけどねえ。ああ、スカウトの場である酒場に入れないのか。これは困りましたね……。

 うーん。でも、酒場には入れないのに迷宮に入って私のところまで来て、こうして相談できているわけですよね。これだけできるんだから酒場にも入れそうな気がするんですけど、やっぱり難しいんですか。

 むしろ顔見知りの冒険者よりも、今まで会ったことのないモンスターのほうがまだ話しやすい? うーん。その感覚、私にはちょっとわかりませんが、あなたにとってはそうなんでしょうね。

 私が直接酒場に乗り込んで他の冒険者と直談判すればすぐにでもパーティが組めるとは思いますが、雑魚とはいえ私のようなモンスターが街をうろついていたら、それこそ大騒動になってしまいます。それに、やっぱりこういうのは他人の手を借りるのではなく、自分の力で頑張ったほうがいいと思うんですよ。そうしないと、パーティを組んだ後も何ら意見を言えずに他のメンバーの言うことを聞くだけの便利屋と化してしまいます。それで死や灰、さらにその先の状態になってしまっても、「こいつ、都合のいいやつだったな」で終わるのが関の山なんですよ。

 パーティとは一見すると生命共同体ですが、それだけじゃなくて、その中で自分がどう生きていくか、自己主張をしていく場所でもあると思います。人と接した経験が少ないあなたには過酷かもしれませんが、そういったことを念頭に入れて、今すぐ街に帰って酒場に足を踏み入れてみてください。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔