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先生の言葉 全集

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89.日光



 うん? 話がある?

 どういったお話でしょうか。よければ私がお聞きいたしますよ。ええ、よほどの緊急事態とかでなければ他言はしませんし、きちんとお話はお伺いさせていただきます。

 ええ。あなたは迷宮に入って1カ月がたとうとしているんですね。モンスターに恐れをなしたり、不幸にも亡くなってしまったりで、1カ月続く冒険者はなかなかいませんからね。ちゃんと継続できているのは立派なことだと思いますよ。で、その間に気付いたんだけど、どうにかして迷宮に陽が差し込むようにできないだろうか、ということを考え込んでらっしゃるんですか。
 ずいぶん突拍子もないことを考えますねえ。迷宮に陽の光を入れようなんて。1階ぐらいならどうにかできそうな気もしますけれど、2階以降は迷宮全てをガラス張りにする覚悟じゃないと、到底実現できないような気がします。そんなこと、最奥の魔術師も狂王も首を縦には振らないと思いますが、なぜそのようなことをしようとあなたは考えているのでしょうか。

 ふむ。今のずっと暗闇の迷宮のままだと、迷宮内でキャンプを張って仮眠を取ったときに時間の感覚が狂って仕方がない、と。さらに最近、宿に泊まったときもうまく眠れなくて、慢性的に寝不足な状態で冒険に出るような状況になってしまっていて、それが元で命を落とす危険性もあるから、なんとかして陽光を迷宮に呼び込みたい、ということなんですね。

 確かに、そういうことならば日光を入れたくなる気持ちも分からんでもありません。しかし、忘れてはならないのはこの迷宮は現在、基本的に最奥の魔術師のものなんです。その魔術師の下には、太陽の光を嫌う不死族という属性のものがたくさん存在します。私もその不死族の1体ですが、光が入るような迷宮にされてしまうと、われわれ不死族はほとんど役に立たなくなってしまうんです。私のようなのは最初から対して役に立ちませんが、不死族の中には魔術師の側近といってもいいくらい、強大な力を持ったものも存在しています。ですから、太陽光を入れてしまうと、魔術師側の戦力は大きく落ちてしまうということになってしまうわけです。

 ならば、その最奥の魔術師とやらをやっつけて、自分がこの迷宮の主になってやればいい? なるほど。それは名案かもしれません。そうすれば、この10階層の迷宮を好きにし放題なわけですからね。

 ……でも、あなた、そもそも何のためにこの迷宮を探索しているんでしたっけ?


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔