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先生の言葉 全集

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73.冷房



 ようこそ皆さん。今日は私の部屋で訓練ですか? 正直、ありがたいようなありがたくないような複雑な気持ちですが、まあ、モンスターでも冒険者でも、誰かがいらっしゃるというのはとてもありがたいことです。

 さて、と。じゃあ、一応、聞いておきますかね。私、友好的なんですけど……。

 うわっ。ちょっ、いきなり何をするんですかっ。あーあー、そんな部屋の壁に向かって魔法を無駄に撃っちゃって。もう、部屋が氷まみれになっちゃったじゃないですか。いくら迷宮の一室とはいえ、ここは私の部屋と言っていいような玄室です。それはあなたがたもよく分かっているでしょう。人の部屋をこんなにしてしまうなんて、一体何を考えているのですか?

 何? 今日は暑いから、仕方なくこうしている?

 まあ、確かにそろそろ季節的に、暑くなってきたかもしれませんが、だからって、人の部屋で勝手なことをしていいわけじゃありませんよ。そんなに暑いんだったら、一度、迷宮を出るとかして、宿屋あたりで涼んでから来てください。

 え、でも修行はしたいし、それにうちの前衛は暑がりだから、こうするのが一番いいんだって?

 そんなことを言っても、最初に氷の魔法を全部使い切っちゃったら、これから戦うのだって大変なんじゃないんですか。それに、部屋を氷漬けにされた私の身にもなってくださいよ。幽霊ですから寒さや冷たさなんか別に感じませんけども、正直、それほどいい気分はしませんよ。

 え? 私を相手にするのに、氷の魔法をわざわざ使うまでもない? それに、時間がたてば嫌でも溶けるから大丈夫?

 ……まあ、確かに私が相手じゃあ、そうかもしれませんねえ。でも、水気に関しては、時間がたてばいいってもんじゃないんですよ。迷宮の中で水はけが良くないんですから、完全に抜けきるには時間が掛かるんです。

 つべこべ言ってないで戦うぞって……。全くわがままですねえ。こういう冒険者が増えるのなら、たまに師匠が出てくるような仕掛けにしておこうかな……。

 あ、そうだ、聞き忘れていました。あらためて、私、友好的なんですけど戦いますか、それとも立ち去りますか?

 え? 僧侶の彼が善だったのを忘れてた? 申し訳ないけれど、引き返して別のパーティを組んでくるんで、ちょっと待っててくれ。

 いやいや、そんな。じゃあ、皆さん、部屋を凍らせに来ただけじゃないですか。せめて戦いはしたいので、後でちゃんと来てくださいよ。この氷の中で待っていますからね。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔