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先生の言葉 全集

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71.修復家



 ふう。みなさんのような熟練の冒険者と相対していると、やっぱり骨が折れますね。まあ、すぐに倒されてしまうから、あまり時間は掛からないという点はましですが。

 しかし、おまえみたいなアンデッドを見ていると、どうも不思議に思えてくる? そりゃあ、そうでしょう。以前は人間だったとはいえ、今はもう既に体の成り立ちが違うんですから。切った後、すぐに再生されるなんて、普通の人間にはなかなかできない芸当だと思いますよ、それこそ君主だけが装備できる「よろい」や、あの指輪でも持っていない限りは。

 ええ。再生といえば、別の疑問もある? 私に分かることだったら何でも言ってみてください。もちろん全てはお話できませんが、お話できる範囲なら正直に話しますから。

 なるほど。すごく高級なアイテムについてですか。たとえば、「ぶき」や、さっき話しに出た君主用の「よろい」なんかは、力を開放すると、当然のように壊れてしまう。俺ら冒険者は、そんな壊れたものをただただ捨てているが、いつの間にか捨てたところからなくなっている。あれはいったいどういうことなんだと、そういう疑問をお持ちなわけなんですね。

 ほう。なかなか面白いところに気付きましたね。さすがです。みんな、壊れたアイテムは壊れたアイテムとして、ゴミのように捨てられると思っている方が多いのですが、そうではないんですよね。

 この迷宮には、実は掃除をしてくれる人が存在しています。といっても、普通に捨てられたものや、冒険者やモンスターの遺体を処理するわけじゃありません。あくまで壊れたアイテムに限って、拾って持っていく掃除屋さんが何人か存在しているんですよ。

 先ほど掃除屋さんと言いましたが、彼らは本当は修復家、といったほうが正しいかもしれません。それというのも、彼らは壊れたアイテムを元に修復する能力を持っているんです。そして、修復したそれをお店に売りつけて、日々、生活を営んでいるというわけです。

 だから、毒消しや安価な巻物などの在庫が店にあり続けるのは、間違いなく彼らのおかげです。でも、そんな彼らも夢を持っています。さっき、お話ししたような、「ぶき」や「よろい」だった壊れたアイテムを手にしたい、という夢を。

 それらを修復して店に売りつければ、晴れて修復家稼業は卒業です。思う存分、酒場で飲んだくれることができるんです。彼らは、そうなることを夢見て、日夜、壊れたアイテムを拾っているんですよ。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔