先生の言葉 全集
26.善の主張
どうも。こんにちは。お噂では先日、無事青いリボンを手に入れたそうで。まずは第一関門突破といった所ですね。その後迷宮深層での冒険はいかがですか?
はい? こんなもんを拾った? ちょっと拝見しますよ。ははぁ、これはなかなか良いよろいですねぇ。でも、中立の方だけしか身に着けられない奴ですね。あぁ、皆さん全員善のパーティなので、宝の持ち腐れになってしまったんですか。じゃあ、お店に売ってお金に換えましょ……。
ええ? よろい、潰しちゃうんですか? そりゃもったいないですよ。なになに? 我々には主張がある。これから言うことをよく聞いておけ?
悪の戒律には、専用の武器や防具がある。
そのことは、我々も知識として有していた。
しかし、我々は中立にもこのような防具が、
存在していることは認識していなかった!
この防具の存在によって、
悪と中立の戒律に専用の武具が存在することが証明されたのだ!
一方、我々が属する戒律である、善はどうだ?
例えば、我々、善の戒律の象徴と言っても良い職業である君主、
その職に就く者のみが、装備できる最高のよろい。
あのよろいは、悪の君主すらも装備できてしまうのだ!
これでは、悪の戒律が有利になっていく一方ではないか!
まあ、悪の戒律が多少有利になるのはいい。
彼らは、友好的な相手に対し退くことを許されぬ。
そのため多少武具が優遇されるのは仕方のないことであろう。
だが、中立の戒律━━こんなノンポリを、
「戒律」と呼ぶのは許しがたいが、の場合はどうだ。
友好的な相手に対し、剣を構えることも立ち去ることも許される。
その上、このような専用の防具まで用意されているとは!
我ら、善の戒律に従う者の面目が丸つぶれではないか!
このようなよろいは即刻、この世界から失せるべきであろう。
そう思い、我々は一計を案じた。
我々は、善の戒律の者を結集し、
この汚らわしいよろいが見つかる階層へと足を運んだのだ!
そして、忌まわしきよろいを手に入れ次第、
その場で潰して、ことごとくスクラップにしていったのだ!
我々のこの行為によって、中立が得ていたアドヴァンテージは、
砂上の楼閣の如く消え去った!
我々はこれから、勝利の美酒に酔いしれるために城へ戻る所なのだ!
ハッハッハッハッハッハ……。
……帰っちゃいました。いったい、何しにきたんでしょうか? というか、仮にも善の戒律なんですから、よろいの一つくらい許容してあげても良いんじゃないかと思うんですけども。