機動戦士ガンダムRSD 第40話 終焉の始まり
アイリス曹長は、先の戦闘がトラウマになっていたが何とか自分を奮い立たせた。
シグマン少佐は、ビームライフルで1機のウィンダムを撃墜した。
その時アイリス曹長が苦戦しているのに気づいた。
「もう部下を失うか」
シグマン少佐は、スダルシャナをモビルアーマー形態に変形させアイリス曹長の援護に向かった。
背後では、スダルシャナを狙ってビームライフルが連射されていた。
最大望遠で確認するとマールスとウィンダムが組み合っていた。
「あれか」
シグマン少佐は、ビームキャノンでウィンダムが持っているビームサーベルを破壊した。
ウィンダムは、おののいたためマールスはウィンダムから離れるとビームライフルで撃墜した。
シグマン少佐は、そのマールスに接近すると接触回線を開いた。
「大丈夫か?」
シグマン少佐は、アイリス曹長を心配した。
「すみません。
ヤキンを生き残ったのに」
アイリス曹長は、無様な姿を見せてしまって申し訳なかった。
「かまわない。
恐怖を感じるのは、皆同じだ」
シグマン少佐は、アイリス曹長を慰めた。
「皆同じ?」
アイリス曹長は、シグマン少佐が恐怖を感じていることに驚いた。
※
1機のマールスは、敵旗艦に向かった。
「旗艦さえ沈めれば」
パイロットは、そのことで頭がいっぱいだった。
「ソレイユ、後ろだ」
上官の声で振り向きビームライフルで背後にいたウィンダムを撃墜した。
撃墜後近づいてきた上官機にサムズアップした。
スダルシャナは、マールス隊を率いてモビルスーツ隊を突破しようとしていた。
ストライクダガー隊は、ビームカービンを連射しながら接近したがどんどん撃ち落されていた。
「時代は、流れているんだ。
オールドタイプは、失せろ」
ストライクダガー隊は、どんどん数を減らしていった。
※
トリントン基地に入港していたアドラステアにもそれは、伝わった。
「艦長」
サンマロ艦長は、いてもたってもいられず艦長室から飛び出した。
※
それは、アークエンジェルにも伝わった。
「コロニーが?」
ラミアス艦長は、それを聞いて驚いた。
アークエンジェルのモニターにもそれが映り皆は、言葉を失っていた。
※
それは、オーブでも同じであった。
※
それは、アドラステアでも同じだった。
「何てことだ」
サンマロ艦長は、それを言うのが精一杯だった。
リクリエーションルームのモニター前では、人だかりができていた。
サオトメ以外は、皆絶望していた。
「コロニーが」
「そんな馬鹿な」
「お母さん。
いや」
破壊されたコロニー出身の乗組員たちは、親族の心配をした。
「何で、何でこんな」
男性パイロットの1人がそうつぶやいた。
「ジブリールだな」
そう答えたのは、有機エレクトロルミネッセンス式タブレットを持ったサオトメだった。
※
アイリス機が1隻のホーキンス級に取りつくとビームライフルの連射で撃沈した。
スダルシャナは、3連装ビームガンで1機のウィンダムを撃墜するとアガメムノン級のブリッジに接近しビームライフルで艦橋を破壊し撃沈した。
マン・マシーン隊と艦隊は、一斉射し廃棄コロニーを破壊した。
※
「月の裏側から撃たれた。
こっちがいつも通り表のアルザッヘルを警戒している隙に。
ダイダロスにこんなものを作ったとは」
サオトメも解説しながら少々信じられなかった。
「何で?
裏側からってそんなの無理じゃない。
どうやって?」
女性パイロットの1人が反論した。
「奴等は、廃棄コロニーに超大型のゲシュマイディヒパンツァーを搭載してビームを数回に屈曲させたんだ」
サオトメがビームを屈曲させた技術を説明した。
「そんな」
男性パイロットが信じられなさそうに言った。
「このシステムならどこに砲があろうと屈曲点の数と位置次第でどこでも自在に狙える。
悪魔の技だな」
サオトメが有機エレクトロルミネッセンス式タブレットに屈曲によるビームコースの例をいくつか表示させながら説明した。
「そんなそんなことを」
男性パイロットは、憤りを感じていた。
「ジブリールを逃がした俺達の責任だ」
サオトメは、この損害の責任は自分たちにあると言った。
※
ジャブローに寄港していたα艦隊の旗艦リーン・ホースJr.の艦橋にアマド大将が向かった。
※
γ艦隊は、全艦追加ブースターを装備していた。
「全艦発進準備完了です」
副長が報告した。
サンマロ艦長が皆の顔色をうかがった。
正直皆は、やつれていた。
「皆連戦で疲れてると思うけど正念場だ。
ここで頑張らなければ帰る家がなくなるぞ。
いいな」
それでもサンマロ艦長は、皆を鼓舞した。
「了解」
皆は、元気をふり絞って答えた。
「機関最大。
γ艦隊発進する」
γ艦隊は、宇宙に向け発進した。
乗組員たちは、シートに身体を固定させ不安な表情で身を任せていた。
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第40話 終焉の始まり 作家名:久世秀一