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遊戯王 希望が人の形をしてやって来る

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アリトの章

尋ねられて、アリトは笑った。
「俺は俺のダチや、俺の天使たちと、また笑ったり熱くデュエル出来る未来がいいな。」
「いいのか。」
「もちろんだぜ?なんか問題あるか?」
「ある。君の言うダチや天使が、無事とは限らない。」
「あーあーあー。その場合俺って蘇れないんだっけ?
うん、でも大丈夫だぜ。あいつらならきっと大丈夫だ。」
アリトはあけっぴろげに笑って、不安など一欠片も持っていないようだった。
「なあアストラル。俺な、前世で死ぬ時『嘘つき』って言葉を聞いたんだ。
俺はてっきり、捕まった俺に言ってるんだって思い込んじまってたけど。
今思えば、あの子達が泣きながら嘘つきって言った相手は、俺じゃなくて俺を捕まえた奴のことだったんじゃないかな。
あの子達は、最後まで俺を信じて『嘘つき』って叫んでた。もしかしたら、そうだったかもしれねえ。」
そうしてアリトは、橋へと歩き出して、アストラルを振り返る。
「なあ。ヌメロンコードなんて無くても、人は信じることで世界を書き換えれるんだぜ。」
だから、あいつらは大丈夫だって、俺は信じるぜ!
アリトは熱く、太陽のような笑顔でアストラルを励まして。
そうしてまるで好きな人に花束を持っていくような軽い足取りで橋の向こうへ歩いて行った。


ミザエルの章

ミザエルは、問われて、ひどく悩むような顔をしながら、けれども首を一つ振って即断した。
「私は、再びカイトと合間見え、今度こそカイトの問いに応えたい。」
「いいのか。君の願いは、他の誰より、ひどく難しい。」
「解っている。」
ミザエルは苦しむように眉根を寄せて、カイトの最期を思い浮かべていた。
「けれども、私は応えたい。カイトの言葉に。そして、私が信じるのをやめてしまった人間に。
私が相対した兄弟もまた、誇り高いデュエリストだった。私は今まで、見えるはずのものが見えていなかったのかもしれない。
もう一度見てみたいのだ。人を。信に足る者とは、どういう者なのかを。
けれどもそれは、その一番最初の相手は、その全てのきっかけをくれた、カイト以外では駄目なのだ。」
そうしてミザエルは、橋へと歩き出した。
その足取りは、深刻に思い詰めているようでもあったが、けれども一方で。
初めて友人の家に呼ばれて緊張しているような、そんなふうにも取れる、たどたどしいものだった。

ギラグの章

ギラグは尋ねた。
「お前がオレの前に現れたって事は、アリトの前にも現れたのか?アストラル。」
「私はそれに答えるコトが許されていない。」
「なるほど答えられねえのか。信憑性上がったな。
なら決まりだ。オレはダチとまた笑える未来を望む。」
「いいのか。仮に君の言うダチが橋を渡り切れなかったら、君も辿り着くべき未来が消えて同じ末路を辿ることになる。」
「バーカ。ダチってのは一緒にいなくても相手の考えが解るからダチなんだよ。」
ギラグは、前言を撤回しなかった。
「あの筋肉バカが頭ひねって小難しい願い事なんかしてるわけないだろ。だったら素直にオレもいる未来を望んでるはずだ。
オレがあいつの居ない未来を選んだ時点で矛盾して終わったビングじゃねえか。」
そう言ってギラグは、首を一つひねる。
「だいたいなあ。ダチの望みが叶わねえ前提で生き延びようなんてのは、ダチじゃねえなあ。」
そもそもお前こそ、遊馬の望みが叶う前提でここに来たんだろ。
言われて、ぐっとアストラルは言葉に詰まった。
「私はそれに答えるコトが許されてい……るけど言いたくない。」
「ぶは、オレを化かそうなんて100年早えんだよ。」
そうしてギラグはお気に入りのテレビでも見にいくように、急ぎ足で橋を駆けて行った。