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セブンスドラゴン2020 episode GAD

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 都庁前広場には、キリノ、ナツメ、そして数名の自衛隊が残っていた。
「都庁にいた生き残りはこいつらだけだ……」
 ダイゴは、意識のあるトウジは地に下ろし、気を失ったシュウを近くにいた隊員に預けた。
「ナツメさん……」
 キリノは、ナツメの表情を窺う。ナツメはこれ以上ないほど険しい顔をしていた。
「まさか、あなたたちが助けてくれるなんてね……」
「目の前で死なれては寝覚めが悪いのでな。間違っても貴様のためではない」
「天堂、有明、恐らく須佐(すさ)もか。お前たちは、何を企んでいる?」
 トウジは訊ねる。
「企んでるなんて、人聞きわるーい! ムラクモ機関の方がよっぽどひどいことしてるよねー?」
「止せ、ネコ。トウジ、悪いが答えてやる事はできん。だが、お前には恩がある。これから先、人類最大の敵となる物のことなら教えてやる」
「天堂……」
 ダイゴは語った。
「今都庁を中心に飛来しているのは、お前たちムラクモ機関が呼ぶマモノとは一線を画す存在、『ドラゴン』だ。そしてその大群を取りまとめるのが、お前たちも交戦した『帝竜』、その支配下、その辺に咲いている花のことだが、名は『フロワロ』という、ドラゴンの元ともなる物体だ」
 今やフロワロは、都庁どころか東京都内全域に咲き乱れ、撒き散らす花粉が瘴気となり、空は真っ赤に染まっている。
「観測班でも知らないことをつらつらと……ダイゴ君、どうして君が知っているんだ?」
「言ったはずだ、キリノ。答えてやる事はできんとな。少なくとも、その女が側にいる限りはな」
 ダイゴは、ナツメに一瞥をくれた。
 ナツメは眉を潜めている。
「キャハハ! 怒るとシワが増えるよー? オ・バ・サ・ン?」
「ちょっとネコちゃん、さすがにオバサンは失礼だよ!」
「大丈夫、大丈夫! リアンちゃん、だったよね? アイツがしてることを知ったらリアンちゃんだって……」
「止めろ、ネコ。無闇に煽るな。それにそいつはまだ機関の人間ではない。深くは語るべきではない」
 行くぞ、とダイゴはナツメたちに背を向けた。
「ああそうだ。タケハヤから言伝てを預かっていた……」
 ダイゴは、ナツメに顔だけを向ける。
「こっちはこっちで勝手にやる。渋谷には手を出すなよ、クソババア……だそうだ」
 今度こそ立ち去ろうとするダイゴだったが、もう一つ言い忘れがあった。
「もう一つ、これは俺個人からの忠告だ。その女、四季シュウは大切に扱うことだ。ドラゴンと戦うつもりならばな……」
 そう言うと、ダイゴは去っていく。
「あ、待ってよダイゴ! そこの隊員さん、リアンちゃんをお願い!」
 ネコは、リアンを近くの自衛隊に預けると、ダイゴの後を追っていった。
「じゃあねーリアンちゃん! また会おうねー」
 ネコは、リアンに手を振り、ダイゴを追いかけていった。やがて二人の姿は、フロワロの瘴気によって見えなくなった。
「ごほっごほっ……ナツメさん、だいぶフロワロの瘴気が濃くなってきました。これ以上ここに残るのは危険です。ドラゴンも襲ってくるかもしれません!」
「そう、ね……」
 ナツメは、この場に残った全員に宣言する。
「新宿御苑の地下シェルターに撤退します! 全員迅速に行動を!」
 残っていた者全員がバンに乗り込み、都庁から退却した。
 それから程無くして、東京、日本、世界、いや、星はフロワロに侵食された。
 ドラゴンに、引き裂かれた大地の痕(こえ)が、瓦礫の戦慄として啼り響く。現実は、刻は、星を朱く朱く染める。
 人は、還らない日常に向かって何を叫ぶのか。
 人と竜の物語は、これより始まる。