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機動戦士ガンダムRSD 第43話 新世界へ

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その日イズボルスクに住むポリーナは、自室で目を覚ました。
「朝か。
朝なのにまだ眠い。
なんでだろう?
朝なのに。
本当に朝?
まだ朝じゃないのかも。
まあ、朝なんですけど。
寒い」
 ポリーナは、そういうと布団に潜り込んだ。
 ネリーは、足早に学校に向かっていた。
「おはよう、ネリー」
 そういって駆け寄ってきたのは、ポリーナだった。
「おはよう」
 ネリーは、足を止め挨拶をした。
「ネリーったら歩くの速いね」
 ポリーナは、軽く息を乱していた。
「寒いから早く学校に着きたくて」
 ネリーが足早だった理由を言った。
「今日は、特に寒いよね」
 ポリーナは、鼻を真っ赤にして言った。
「本当だよ」
 2人は、再び歩き出した。
ポリーナは、悪戯心が芽生え手袋を外すと冷えた手でネリーの首元に触れた。
瞬間ネリーは、悲鳴を上げた。
刹那キレたネリーは、ポリーナの腕をひねった。
「ギブアップ、ギブアップ」
 ポリーナは、ギブアップした。
 2人が学校につくとナタリアが来た。
「おはよう」
 ナタリアが挨拶すると2人も挨拶した。
瞬間ナタリアがネリーの頬を素手で触った。
同時にポリーナが驚いた。
「冷たいな」
 しかしネリーは、優しくナタリアの手を外して言った。
「なぜ?」
 ポリーナは、自分とナタリアの対応の差に驚愕していた。
「ショートコント。
日光で気持ちよくなる人」
 そういうとポリーナは、凍えた演技をして日光に当たった瞬間至福の表情に変わった。
面白かったのかナタリアが笑った。
「窓の縁のところは、あまり暖かくはない。
惜しい」
 ポリーナが状況を伝えた。
ナタリアが笑い続けていたがネリーは、冷めた目で見ていた。
「日向は、過ごしやすいね」
 3人は、窓際で日向ぼっこをしていた。
「そうだな」
 ネリーが同意した。
「過ごしやすすぎてまともに過ごせないよ」
 ポリーナは、自分がダメ人間になってしまうといった。
「そうだな」
 ネリーが再び同意した。
「ポテトって言葉は、いいよね」
 いきなりナタリアがおかしなことを言ったので2人は、一瞬思考停止したが心中でポテトと反芻してみた。
「ポテトってポテトだね」
 ナタリアがよくわからない結論を言った。
「あのさ、ポテトってさほくほくにして皮をむいて薄着のネリーに投げつけたらおこる?」
 今度は、ポリーナがよくわからない言葉を言い出した。
「当たり前だろ、熱いし」
 ネリーは、友人の頭を心配していた。
「だよね」
 ポリーナは、しょんぼりした。
(投げたい)
 ナタリアは、投げたがっていた。
「食べ物だし」
 ネリーがまっとうな突っ込みを入れた。
「だよね」
 ポリーナは、さらにしょんぼりした。
「投げつけるというのは、あんに‛くれてやる’‛御馳走してやる’という意味も含むのです」
 ポリーナは、「投げつける」の意味を紹介した。
「じゃあどうせならちゃんとおいしくしたやつをくれよ」
 ネリーが注文を入れた。
「いや、ある意味おいしいぜ。
熱いの」
 ポリーナは、揚げたてはおいしいと説明した。
意味を理解できた2人は、感嘆した。
「止めて。
その反応は、止めて」
 ポリーナは、恥ずかしかった。
「ポテトっていうマフィアは、どう?」
 ナタリアが聞いた瞬間ネリーが大爆笑した。
「かわいい。
歴代のマフィアの中で一番かわいい」
 ナタリアが自画自賛した。
「でもロス・セタスと同等以上の武力と財力を誇る組織なんだよ」
 ポリーナは、名前に反して凶悪な組織であると説明した。
(寝起きのせいかな)
 ポリーナが爆笑しているネリーを見て心中で推測した。
そこにマリアが通りかかったが爆笑しているネリーを見た瞬間驚愕した。
「何、ネリーどうしたの?」
 マリアは、あたふたしていた。
「ああ、マリア。
大丈夫、何でもないよ」
 ポリーナが冷静にそういった。
「体調悪いとかじゃないの?」
 マリアは、ネリーの体調を心配した。
「そういうのじゃないよ」
 彼女たちの楽しい学校生活は、サオトメによって放たれたコロニーレーザーによって終わりを告げた。

                            ※

 デュランダル大統領に代わってコンピュータ音声がデスティニープランを説明し始めた。
「デスティニープランは、我々コーディネイターがこれまでに培ってきた遺伝子工学の全てまた現在最高水準の技術を以て施行する究極の人類救済システムです」
 それに反応して将校の一人がシバ首相の許を訪れたが既に説明を聞いていた。

                            ※

 ミネルバでは、マユ大佐の自室でルナマリア大尉とこの説明を聞いていた。
「大統領」
 マユ大佐は、圧巻されていた。
「マユが驚くことは、ないでしょう」
 ルナマリア大尉が突っ込んだ。
マユ大佐は、ルナマリア大尉が何を言いたのかわからず戸惑っていた。
「大統領の目指されていた世界がどんなものかは、皆が知っていたはずよ」
 ルナマリア大尉が今更な話をした。
「でも急にこんなこと言ったって世界は、大変よ」
 マユ大佐は、世界中が混乱すると訴えた。
「分かってる。
だがだからと言って大統領は、諦める方ではない。
それは、マユも知っているでしょ?
今は、私たちもいる」
 ルナマリア大尉の説明にマユ大佐は、驚いた。
「大統領の目指す誰もが幸福に生きられる世界。
そしてもう二度と戦争など起きない世界。
それを創り上げ守っていくのが私たちの仕事よ」
 ルナマリア大尉が自分たちの役割を話すと再びマユ大佐は、驚いた。
「そのための力でしょ、デスティニーは?」
 ルナマリア大尉がデスティニーガンダムの存在意義を言うとマユ大佐は、何かに気づいた。
「そしてそのパイロットに選ばれたのは、あなたよ」
 ルナマリア大尉の言葉にマユ大佐は、戸惑った。
「大統領があなたを選んだのは、あなたが誰よりも強く誰よりもその世界を望んだ者だからよ」
 ルナマリア大尉がデスティニーガンダムをマユ大佐にした理由を説明した。
「私が?」
 マユ大佐は、動揺していた。
「マユ、いる?」
 呼び鈴を鳴らしたのは、ステラ少尉だった。
「今大事な話をしている。
あとにして」
 ルナマリア大尉が答えた。
ステラ少尉は、あきらめてマユ大佐の自室前から去った。
「ルナマリアさん、何するの?」
 マユ大佐が抗議した。
「だけどマユの言う通り本当に大変なのは、これからよ」
 ルナマリア大尉が覚悟を決めたよう言った。
「ルナマリアさん」
 マユ大佐は、何を言われるのか少々不安だった。
「いつの時代でも変化は、必ず反発を生む。
それによって不利益を被る者や明確な理由は、なくともただ不安から異を唱える者が必ず現れる。
大統領の仰る通り無知な我々には、明日を知る術などないからな」
 ルナマリア大尉がコロニー連邦共和国が反対を表明すると予想していた。
それには、マユ大佐も同意した。
「だけど人は、もう本当に変わらなければならないの。
でなければ救われない」
 ルナマリア大尉は、これが最後のチャンスと考えていた。
「私だってそれは、分かりますけど」