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機動戦士ガンダムRSD 第43話 新世界へ

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 マユ大佐は、しばらく考えてから言ったが心の中に何か引っかかりを感じた。
「シンやレイのような悲劇を二度と繰り返さないために。
これは、やり遂げなければならないの」
 その瞬間マユ大佐は、2人の死に際を思い出した。
「強くなって、マユ」
 マユ大佐は、ルナマリア大尉が何を言っているのかわからなかった。
「あなたが守るの。
大統領とその新しい世界を」
 ルナマリア大尉は、何かを悟っていた。
「ルナマリアさん」
 マユ大佐は、そういうだけで精一杯だった。
「それがこの混沌から人類を救う最後の道よ」
 ルナマリア大尉は、瞬間我に返った。
「ごめんなさい。
私もよくわかってないのに説教じみたことを言って」
 ルナマリア大尉は、申し訳なさそうに言った。
「いえ、そんなことありません。
ルナマリアさんのおっしゃることは、正しいと思います」
 マユ大佐は、力説した。
「ありがとう」
 ルナマリア大尉は、笑顔で答えた。
 ブリッジでも混乱は、起きていた。
「でもどうするんですか、これ」
 アーサー副長がタリア艦長に指示を求めた。
「どうもこうもないでしょ?
私にだって分からないわ」
 しかしタリア艦長すらどうすればいいかわからなかった。
アーサー副長は、希望が消えたように沈んだ。
「戦争は、政治の一部よ。
そこから全体などなかなか見えるものでは、ないわ」
 タリア艦長は、混乱の中でも大局的に物事を見ようとしていた。
瞬間アーサー副長の表情が明るくなった。
「艦内の様子に気を付けておいてね。
みんな貴方と同じ気持ちでしょうから」
 タリア艦長は、部下たちを心配した。
「了解」
 アーサー副長が敬礼で答えるとタリア艦長も敬礼で答えてブリッジを後にした。

                              ※

 ユート・シティーにいるシバ首相は、委員会室に向かいながら将校が各国の回答を報告した。
「では、はっきりと拒否を表明しているのはコロニー連邦共和国だけか」
 シバ首相の予想の範囲内であった。
「はい、どの国も即答したそうです」
 将校の1人が答えた。
「大西洋連邦大統領のロード・ジブリールが死んだことで地球連合は、一時崩壊寸前になりましたから」
 別の将校が答えた。
「それも全て彼のプラン通りということなのだろうな」
 シバ首相は、すべて彼の掌の上で踊らされていたと考えていた。
その言葉に将校たちは、悪寒を感じた。
「だがもうこれ以上世界を彼の思い通りになどさせるわけには、いかない。
かつてウズミ代表は、我らの侵攻に際して人としての精神への侵略という言葉を使われた。
これは、それよりも尚悪い」
 シバ首相は、自分たちの行為を正当化したわけではないが今のユーラシア連邦のやり方はそれ以上だと考えていた。
皆は、黙ってうなづいた。
「罪滅ぼしでは、ないがこの侵略は絶対に止めねばならない。
それが必ずや全てを守ることとなる」
 シバ首相が決意を表明した。
「はい」
 将校たちがそういって敬礼した。

                              ※

 スカンジナビア王国では、ロード・ジブリールが死のうと旧ロシアの田舎町にコロニーレーザーが撃たれようが平和そのものだった。
「寒い」
 カロリーネは、放課後部室に入るなりそういった。
「うるさい」
 クリスティーネが突っ込んだ。
カロリーネは、凍えながら部室に入った。
「ヒーターつけるね」
 イングリッドがヒーターのスイッチを入れた。
瞬間カロリーネは、ヒーター前で1人温まり始めた。
「これ、ヒーター」
 カロリーネは、友達みたいにヒーターを紹介した。
「友達か、自慢の」
 クリスティーネが突っ込んだ。
イングリッドは、そんな2人をほほえましく見ていた。
「ヒーターは、いいやつ」
 カロリーネがヒーターを紹介し始めた。
「やつ?」
 クリスティーネがひっかかりを言った。
「でもね結構電気代かかるから少しお金がかかるやつでもある」
 カロリーネがヒーターの欠点を言った。
クリスティーネは、何も言えないかった。
「今日って何曜日だっけ?」
 イングリッドが回転いすでまわりながら曜日を聞いた。
「木曜日」
 クリスティーネが少し考えてから答えた。
「なるほど」
 イングリッドが納得した。
「何?
なんのなるほど?」
 クリスティーネが質問した。
カロリーネも理解できなかった。
「木曜ってそんな感じしない?
それと『週間ネイルアート』の発売日
あれに載ってるって毎回かわいくてすごく楽しみなの」
 イングリッドが木曜日の出来事を言った。
「でも『週間世界の野良猫』もすごくいいよ」
 カロリーネが反論した。

                              ※

 コロニーレーザー指令室は、デュランダル大統領の唱えるデスティニープランの魅惑で重苦しい空気に満たされていた。
「俺達は、今戦うしかない」
 そんな中サオトメが口を開いた。
「サオトメ」
 サイジョウ元帥が言った。
「夢を見る。
未来を望む。
それは、全ての命に与えられた生きていくための力だ。
何を得ようと夢と未来を封じられたら俺達は、既に滅びたものとしてただ存在することしかできない。
全ての命は、未来を得るために戦う。
戦っていいんだ」
 サオトメは、戦う正当性を訴えた。
「うん」
 サイジョウ元帥も同じ意見だった。
「だから俺達も戦わなければならない。
今を生きる命として。
俺達を滅ぼそうとするもの。
デュランダルの示す死の世界と」
 サオトメは、戦う決意を露わにした。
「了解」
 サオトメの言葉に皆が敬礼した。

                                ※

 ジャブローのコントロールルームでは、ステーションの微調整を行っていた。
「ステーション1、間もなくポジションに就きます」
 オペレーターが報告した。
「レクイエムコントロールシステム、全て正常に稼働中」
 別のオペレーターがレクイエム本体の状況を報告した。
「チャージは始めておいてくれ。
どのみち一度は撃たねばならん。
テストもかねてね」
 アマド・リー大将は、部下に指示を出した。
「了解」
 部下は、敬礼して答えた。
「わが国がデスティニープランの拒否を示した影響かデュランダル大統領がアルザッヘル基地に到着したと」
 将校がデュランダル大統領の行動を報告した。

                                 ※

 ユーラシア連邦の大艦隊がデュランダル大統領を護衛しアルザッヘル基地に到着した。

                                  ※

 リー大将は、驚きの声を上げた。
「ユーラシア連邦大統領は、首相にコンタクトを取りたいと申し入れもしてきているのですが」
 将校がデュランダル大統領の行動を引き続き報告した。
「では、まずアルザッヘルを討つ。
準備を始めてくれ」
 リー大将は、部下に指示を出した。

                                  ※