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機動戦士ガンダムRSD 第43話 新世界へ

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 レーザーが中継地点を経て屈曲した。

                                             ※

 ヘルマン中尉は、マーカー艦長に聞かれるより早くコースの計算を行っていた。
「屈曲後コースエリア4から11」
 ヘルマン中尉が答えた。
「コロニー?」
 ミハイル副長が最悪のシナリオを言った。
「アルザッヘル」
 マーカー艦長が驚愕しながら言った。
「では、これは我が軍が?」
 ミハイル副長は、思わずマーカー艦長に確認した。
「当たり前だ。
あそこにもう連合は、いない」
 マーカー艦長が戦慄しながら言った。
それは、ミハイル副長にもうつった。

                                              ※

 レーザーは、最後の中継地点を通ると逃げ遅れた哨戒艦隊を巻き添えにデュランダル大統領ごとアルザッヘルを焼き尽くした。

                                              ※

 コロニー艦隊のブリッジにいた皆が戦慄した。

                                             ※

 カロリーネ、クリスティーネとイングリッドは部室を後にした。
「廊下寒い」
 クリスティーネが思わず愚痴った。
「寒いと日本の鍋料理が食べたくなるね」
 イングリッドが日本の鍋料理を恋しく言った。
「部室で鍋パーティとかしたいね」
 カロリーネが提案した。
「楽しそうだね、それ」
 イングリッドは、早くもワクワクしていた。
「いいな、それ」
 クリスティーネも異論は、なかった。

                                               ※

 アークエンジェルのブリッジに治療を終えたキラ准将が来た。
「マリューさん」
 キラ准将がラミアス艦長を呼んだ。
「キラ君」
 ラミアス艦長もキラ准将に気づいた。
「レクイエムを?」
 キラ准将が驚愕しながら確認した。
「破壊したんじゃなかったんですね、コロニー軍は」
 ノイマン大尉がコロニー軍の行為を言った。
ブリッジにいた皆は、自分たちに行われた行為を相手に行ったコロニー連邦共和国に不信感を抱いていた。
「これで残っていた連合の戦力もほぼ全滅だわ」
 ラミアス艦長は、地球連合の現戦力を説明した。
「あれの破壊力もジェネシスに劣らない。
中継点の配置次第で地球のどこでも自在に狙える」
 キラ准将がジェネシスの破壊力とさして変わらないことを危惧した。
皆は、この戦略兵器が恐怖と恫喝に支配された世界の象徴になると危惧していた。
その時エターナルから通信が入った。
「艦長、オーブに連絡を。
オーブ艦隊と地球軍残存艦隊と合流します。
すぐに発進準備を始めてください」
 ラクスが艦隊の発進命令を具申した。
「ええ」
 ラミアス艦長も異議は、なかった。
「ラクス」
 キラ准将は、心配していた。
「従わねば死。
どちらにしてもこのままでは、世界は終わりです。
逃げ場は、ありません」
 ラクスは、恐怖と恫喝に支配された死の世界と戦うつもりだった。
「うん、わかってる」
 キラ准将も同じだった。
「行きましょう」
 アークエンジェルのブリッジにいた者は、皆うなづいた。
 そこでラクスは、アークエンジェルとの通信を切るとミネルバに通信を入れた。
「ステラ・ルーシェさん、マユ・アスカさん、ルナマリア・ホークさんをメサイアに寄こしてください。
ええ、機体共々です」
 ラクスがタリア艦長に指示を出した。

                                     ※

 カロリーネ、クリスティーネとイングリッドは廊下を歩いていた。
「土鍋でやりますか。
日本のこたつも持ってきて」
 カロリーネが計画を立てていた。
「温まるね」
 イングリッドは、想像しただけで体中が温まった。
「でも絶対許可しないだろう」
 クリスティーネは、担任が許可を出すとは思えなかった。
「ダメもとで言ってみる?」
 イングリッドは、物は試しだと言った。
「卓上コンロとかあるかな」
 カロリーネは、備品があるかどうか心配していた。
「コンロか」
 クリスティーネもそこまでは、気が回ってなかった。
「先生、部室で鍋がしたい」
 クリスティーネは、担任にストレートでお願いした。

                                      ※

 リーン・ホースJr.に帰還したサオトメとサイジョウ元帥は、リクリエーションルームへ到着した。
「隊長」
 そこにアンディー大尉が来た。
「連合のレクイエムでアルザッヘルが撃たれた」
 アンディー大尉からの報告を受けても2人は、驚かなかった。
「だってあれは、アンディー大尉が破壊したはずでは」
 カレン中尉は、パニックになっていた。
「これ以上の犠牲を出したくないという首相の判断だろう」
 答えたのは、サイジョウ元帥だった。
「軍は、あれを直したんですか?」
 カレン中尉は、敵戦略兵器をひそかに修理していたことに驚いた。
「確実に敵をたたくためだろう。
追い詰められた連合は、何をするかわからないからな。
あのデスティニープランだって本当に人々が幸せになるのか不明だ」
 サイジョウ元帥は、追い詰められた場合の地球軍の危険性を説いた。
「でも何もあんなものを使わなくたって。
こっちには、『漆黒の皇帝』と『純白の死神』がいるんだから2人に任せればよかったんじゃないかな?」
 乗組員の1人が神頼みのごとく言った。
「結局同じだ。
俺のガンダムとあの兵器に何か違いがあるのか?」
 サオトメは、ガンダムサイガーMk-3とレクイエムに違いはないと感じていた。
「何言ってるんですか?
大違いですよ。
もしガンダムが撃たれたら大佐が死んでしまいます。
だから今回α艦隊が参戦しなくてよかったと思ってますよ。
今までだって俺たちは、いつも皆命をかけて戦ってきたんです。
この間の作戦だって少しタイミングが送れていたら皆死んでいたかもしれなかったんだ。
もう沢山だよ。
平気で人を殺しあうなんて。
早く終わってほしいよ、正直言って。
もう戦争は、こりごりだ」
 ジョニー中尉が自分の胸の内を白状した。
「気持ちは、わからなくもない。
しかし残念だがそれが俺たちの仕事だ」
 サイジョウ元帥の言葉に皆が注目した。
「平和は、誰しも求める。
しかしそれが時に極端な思想を生む場合もある。
それが新たな紛争に発展することもある。
俺たちは、その危険な思想を早急に詰み場合によっては武力制圧しなければならない。
それが俺たちが軍服を着ている意味だ。
世界の日常は、誰かの犠牲で成り立っている。
俺たちは、その最底辺に存在する軍人なんだ。
もしこれがきっかけで二度と戦地に赴きたくなければ除隊許可書を出せばよい。
俺は、出したやつを『腰抜け』とは呼ばせない」
 サイジョウ元帥が軍人になった瞬間から戦争の呪縛から逃げ出せなくなることを説明した。