宇宙に虹、大地に黄昏
フォルティスが3人のパイロットスーツに続いてプラットホームに入ると、メカニックマン達が狂奔している光景が目に入った。
「セドリック! リゼルは出せるか?」
フォルティスは、自機の改修を担当してくれた整備士の姿を発見し、問いかけた。
「今、終わったところだ。 ライフル、どれにするんだ?」
「時間がない。通常のでいい」
フォルティスがコックピットにすべりこむと、セドリックが、このライフル替えが無いんだから失くすなよ、と助言をし、機体から離れていった。
フォルティスがシートにパイロット・スーツを固定する頃には既に、リディアのドライセンがエア・ハッチを飛び出していた。
「流石に早いな・・・」
「続いてメッセニア2、ギラ・ドーガ、発進どうぞ!」
管制ブロックからのコールが回線に割り込んでいることに、今になって気が付いた。しかし、その声の主がルミナであるということまでは、気付けなかった。
「クロノグラフ2、ジャックのジェガンだ!先行するぞ! 」
コンソール・パネルの操作に着手する間にも、リゼルの隣に固定されていた機体までもがスラスターを吹かし、飛び去っていった。
結局、フォルティスがビリになったのである。
「まったく、これだから・・・! クロノグラフ1、発進準備完了だ」
「現在、メッセニアが先行して陽動をかけています。クロノグラフ1、2番両機はメッセニアの援護をお願いします」
「了解!リゼル、出るぞ!」
一筋の閃光が、宇宙を駆けた。
作品名:宇宙に虹、大地に黄昏 作家名:アスキー