高等部男主
やわらかな、光に包まれていた。
この光を、俺は知っている。
傷ついた俺を、癒してくれた力。
とても懐かしいのに、思い出せない。
強くて、やさしい力。
思い出さないと....
うっすら目をあけると、目の前には狐の面。
ぎょっとするが、身体の節々が痛み、動けない。
「まだ動いちゃだめ...」
鈴のなるような少女の声。
おとなしく、その心地よい声に従った。
「これ、のんで...」
口元に近づけられた水筒からあふれる水を、のどをならしながらあっという間に飲み干す。
「もう大丈夫...」
少女はその場を立って、走り去ろうとする。
「待って...!」
そう言うも、延ばした手は空を切り、再び深い眠りに襲われた。