CoC:バートンライト奇譚 『毒スープ』後編(上)
病院で昏睡状態に陥っていた自分が、ベッドで目覚めてまもなく、ラムから唐突に引退を告げられた時の思い出。
窓からキラキラと漏れる朝日の中、固眼鏡のおじさんは歯をニカリと見せて、語った。
『まあ、非常に唐突だが、そういうことだ。日本の別荘は、元々私が譲り受けたものだったが、成人した君になら十分託せるだろう。私自身の財産も、一切合切君に引き継いでおいた。面倒な手続きは気にすることはない』
そうだ、間違いない。
これは間違いなく師の言葉だ。
『いいかねバリツ! これからは君の時代だ。だが、君に語り残したいことは本当に山ほどあるな。ガハハハハッ!』
鍛えられた豪腕で、彼は自分の両肩をガッと掴む。彼が愛飲していた葉巻の香り――自分にとって父性の象徴たる香り。
そうして始まる思い出話の数々。
その末に続く言葉もちゃんと覚えている。
『長々と話してしまったが、最後に、私が言い残したいことがある』
今も強く焼き付く言葉――。
『困難を前にして、決して傍観者であってはならない。そして――君を助けてくれた者の思いに敬意を払え』
(うむ、うむ。間違いない。)
そしておじさんは、あっけにとられながらも頷いた自分の頭を、くしゃくしゃと撫で――★
なで……?
★☆★☆
撫で、て……?
★☆縺オ縺オ縲√>縺?シ疲橿縺ュ★☆
作品名:CoC:バートンライト奇譚 『毒スープ』後編(上) 作家名:炬善(ごぜん)