宇宙に虹、大地に黄昏 2巻
現金はほぼ完全に電子マネーへと置き換えられ、カードや携帯端末一つで支払いができる時代に紙媒体の本を購入するというのは一見してナンセンスである。
しかし、電子へ置き換えられたものは全てではない。ほぼ、である。
旧来の仕様にも一定の需要はあるというのが現実であって、実体の無いものに不安をおぼえるのが人間である。
紙の本は褪せたり、愛着を持たせたり、紙独特の働きをするのだ。
道具は使いようだが、どんなに便利であろうと道具に過ぎないということである。
これに警鐘を鳴らし、時代を受け入れることに抵抗した世代もいたのだが、危険社会に対して警戒の目を向けることができる世代は、既にフォルティスが最後なのかもしれなかった。
作品名:宇宙に虹、大地に黄昏 2巻 作家名:アスキー