宇宙に虹、大地に黄昏 2巻
こんな人々に嫌気がさして、厭世的な気を持ちながら歩くと、小さな古本屋が目に入った。
古本屋といっても、ただの露天商だ。
小さな一画でビニールシートの上に並べられた50を超える本は、店主と同じように薄汚れていた。
フォルティスは大雑把に品揃えを眺め、いくつかの冊子を手に取った。
その巻頭を確認して、内容を見るようにペラペラとページをめくってみせるのだ。
もちろん、巻末のチェックも忘れない。
確認した出身地と出版社の場所を照合すれば、どこから流れ込んだものか、大方の予想はつくのだ。
出自は同じサイドのコロニーばかりで、交易の少なさは把握できた。
もっとも、このような街路をみれば、比較的成長性に欠けるコロニーだということは、誰にも想像ができた。
幸いにも古い電池式の決済端末があったようで、フォルティスは1冊の本を購入して、路地を足早に抜けだした。
作品名:宇宙に虹、大地に黄昏 2巻 作家名:アスキー