セルジュがクロノ達とクロスする。
〜ガルディア大使館、蛇骨大佐の部屋〜。
兵士「大人数で申し訳ありません。少々込み入っておりまして…」
セルジュ一人では行かせられない。5人で蛇骨大佐の部屋に入った。
部屋には蛇骨大佐はおらず、ヤマネコがいた。
兵士「ヤマネコか…。頼まれたセルジュを連れてきたぞ。大佐はどこに行ったのだ?」
ヤマネコ「大佐殿なら所要で今おらぬ。」
キッドがヤマネコに飛びかかる。
ヤマネコはキッドの一撃を受けた後、シールドを展開させ、キッドをふっ飛ばした。
キッドは攻撃をし続けるがバリアされる。
ヤマネコ「このむすめは一体…
キッド「姉ちゃんを殺した仇!
ヤマネコ「仇だと…?
キッド「家に火をつけて、姉ちゃんをさらって行っただろうが!」
ヤマネコは思い出した。ルッカをさらい、孤児院に火を着けたことを。
ヤマネコ「そうか…。あの時の子供か…。
キッド「なぜ、姉ちゃんをさらった!
ヤマネコ「さらったとは心外だな…。
キッド「姉ちゃんを殺したのか!? 殺して食べたのか!?」
ヤマネコはキッドの「食べる」の言葉に腹を抱えて笑いだした。
ヤマネコのふざけた態度にキッドはますます怒り狂う。
ヤマネコはキッドが怒る姿を見て、真面目な顔をし、真相をしゃべり始めた。
ヤマネコ「彼女は生きているよ。殺したりなんかしない。する訳がない…」
キッド「どういう意味だ!? 姉ちゃんは生きているのか!?
ヤマネコ「私は彼女の能力を必要としていた。いや私だけじゃない。人類全体にとって彼女は必要な存在だった。私は彼女にその事を説明したのだが、協力的でなかった。だから、火をつけて脅し、誘拐したのだよ。」
キッド「姉ちゃんはどこにいる! 無事なんだろうな?
ヤマネコ「ああ、今でも元気にしている。人類の為に頑張っている。家に帰る為に今も必死でな。
キッド「ヤマネコ、なんで姉ちゃんを…姉ちゃんを返す気はないのか?
ヤマネコ「返して欲しければセルジュを引き渡せ。彼さえいれば問題は解決する。
キッド「なぜ、セルジュが必要なんだ?
ヤマネコはクロノポリスがタイムクラッシュした話を語りだした。
第2話
ヤマネコ「…とういう訳で、私はセルジュの存在しない世界を自ら作り出してしまった。セルジュなしでは凍てついた炎にはアクセスできないというのに…」
ルッカ「ヤマネコ(セルジュの父親)はセルジュを溺死に見せかけて殺したのね。なんでそんなアホなことしたの? 凍てついた炎にアクセスするにはセルジュが必要なのに。」
ヤマネコ「私にもわからん。ただ、セルジュが死んで得をするのは、凍てついた炎にアクセスされたくない誰か。たとえばルッカやキッド、龍神くらい。ルッカとキッドを容疑者から外すと、龍神の封印が解けかかっていて、奴らが私の行動に負の影響を与えているのかもしれない。」
キッドやセルジュ達は話の半分も理解できなかった。頭が追いついていない。ルッカとヤマネコだけの世界になっていた。
ルッカ「ヤマネコの意見は極端だけど、間違っているとも言いきれないわ。運命の書でエルニド全土の人間の行動を監視しているのは良くないとは思うけど、龍神を封印しつづけないと戦争が起こる事になるもの。仕方がないわ。
セルジュ、貴方が凍てついた炎に触れれば直ぐに解決することなのよ。」
ヤマネコ「龍神が目覚めたら、やつらはエルニドの人間を抹殺するだけではなく、エルニドの外の人間達も支配する可能性がある。。頼むから協力してくれセルジュ。駄目でも無理矢理協力させるがな。」
ルッカ「でも変よね。龍神の封印が解けかかっていて、ヤマネコを支配できる程に力があるなら、いっそヤマネコを殺した方が早い気もする。そうすれば凍てついた炎は活用されず龍神にとって都合の良い展開になる。龍神はヤマネコを支配していないのでは? だとしたら本当の敵は…」
ルッカはしばらく考えて、敵の存在を凍てついた炎に定めた。ヤマネコの矛盾した行動は凍てついた炎に操られている。そうであれば全てに合点がいく。
ルッカ「この問題は貴方が凍てついた炎にアクセスしたら解決するという単純なものては無くなっているわ。凍てついた炎が人間を敵視しているのなら、既に人間の手でコントロールできる代物では無くなっていかもしれない。近付いた途端、凍てついた炎に支配される恐れがある。なぜこの時代のルッカが6年もの長きにわたり、プロメテウスのセキュリティシステムを解除できないでいるかわかる?
本当は解除できるけど、その行為が危険だという事を理解しているのよ。恐らく凍てついた炎は誰にもコントロールされたくないが為にプロメテウスにアクセスしてロックをかけた。アクセス権限をセルジュに移行してね…
あとはセルジュさえ殺してしまえば凍てついた炎は誰にも干渉されなくなる。
セルジュが死んで一番得をするのは凍てついた炎自身なのよ! ヤマネコを操ってセルジュを殺してその目的は果たせた。だけどどういう訳かパラレル世界からセルジュが現れてしまった。」
ヤマネコは笑いだした。転げる程に。
凍てついた炎がヤマネコを操っていた。
凍てついた炎「よくぞ見破ったな人間。だが、所詮は寿命ありき儚い存在。真実が判ったところでお前達には何もできぬわ。」
ルッカ「ええ、何もしないわ。貴方は自分らしく生きるといいわ。私達はガルディアに帰ります。
凍てついた炎「さらばだ人間。」
こうして未来のルッカは開放された。
キッドとルッカ(40歳)は感動の再会果たした。
凍てついた炎の配慮次第であるが、いつか龍神が目覚めて人間に戦争を仕掛ける時が来るかもしれない。
ガルディアは対龍神戦に向けて戦力を増強する必要に迫られるだろう。
ルッカはガルディア政府の研究者として内定を貰った。
エルニドのエレメント技術と最果てから得た魔法技術と科学技術を融合し、きたるべく龍神戦に備えて技術協力するのであった。
作品名:セルジュがクロノ達とクロスする。 作家名:西中