古代人とクロノトリガー続編
バリアを作り終えた瞬間、ジールはラヴォスに心を乗っとられていた。
ラヴォスには生物の意識に繋がり、操る力があった。その能力はサラと似ているが、サラが繋げられるのはラヴォスだけだった。
ラヴォスがジールに意識を繋いだとき、ラヴォスはジールの心を共有した。
ジールの国民を守りたいという純粋な感情、一度は守りきれず失った悲しみと絶望。
ラヴォスは敵であるジールの心を支配するつもりが、ジールの強い念に協調し支配された。
ラヴォスがサラの心を奪えなかったのは、既にサラの力で意識がリンク(同化)していたからで、サラの存在を自身の一部として認識していたからだが、その一部も含めてラヴォスの意識全体そのものが、ジールの念に支配される事になる。
とはいえ、完全に支配できるわけでもない。
強い気持ちを常に維持することができない様に、ジールがラヴォスを支配できるのも一時的なものである。
ラヴォスの意識とジールの意識がせめぎ合う。
ラヴォスは世界に向けて光の柱をブチかましたい。ジールはラヴォスから人々を守りたい。
互いにラヴォスエネルギーを奪いあう様相になる。
ラヴォスは光の攻撃をしたい。
ジールは人々を守りたい
(ラヴォスは光の攻撃をしたい + 人々を守りたい。)+ジールは人々を守りたい=
ラヴォスは天に向けて力を放つも、ジールはラヴォスエネルギーを使い神殿で攻撃を防ごうとする。
物質変化の術を神殿にかけたジール。その術に意識を集中し、神殿を変形させ、ラヴォスを包み込もとうする。
ラヴォスは神殿に包まれる。光の攻撃で神殿の天井を破壊するも破壊した部分からすぐに神殿は再生していく。
ラヴォスエネルギーを用いた神殿はラヴォスの攻撃を鉄壁にガードする存在となった。
ジールはラヴォスを人のいない遠くに追いやりたい。
神殿はラヴォスを抱え込んで浮上し、空へと進む。
このまま空の果てに連れて行くつもりのジール。
だが、いずれ自身は寿命で死ぬ。ラヴォスの寿命は果てしなく長い。寿命があるのかさえ判らない。いずれラヴォスを支配できなくなる未来が来て暴走を止められなくなる。
これを解決するにはジール自身の意識を神殿内に閉じ込め、神殿と同化する事でラヴォスと意識を繋がり続けさせるしかない。
神殿に意識を転移する術を使い、サラの前から姿を消した。
ラヴォスを支配できている今の内にラヴォスエネルギーを抜き取れるだけ抜き取る必要があった。
そのエネルギーでジール神殿はラヴォスが容易には抜け出せない程の硬い質へと変化した。ラヴォスを未来永劫、神殿内に封印できることを期待して、また、誰かがこの封印を解かない様に神殿への侵入者、外敵を排除できるように要塞になる形に変形させた。
サラはジールが神殿になるのを止められなかった。
サラがラヴォスと意識を繋ぐというのは、ラヴォスが意識を繋いでいるジールともまた繋がるということ。ジールの気持ちが判りすぎて、止める様な無粋な真似はできなかった。
止めるにしてもラヴォスへの対処方法も判らずでは無責任でもある。
「お母様、有難う。」
サラはジールに感謝と別れ告げると、この状況を民に説明する為、国へ戻った。
ラヴォスが封印され、天空都市を維持するエネルギーはラヴォスから得られない。
天空都市は落ちている。
ジールの人々はこれから地上で暮らす事になる…
〜アザーラとガッシュの関係〜
ガッシュが原始時代に訪れたのはクロノ達が原始時代へ来る100年程前だった。
ガッシュは未来の2100年にデータベースから、ルッカの論文テレポッドを参考にルッカと同種のゲートホルダーを作り、時の最果てに辿り着いた。
最果てには一人の恐竜人がいた。
その恐竜人の名前をアウラという。
アウラは崖にあるタイムゲートに飲み込まれて最果てに飛ばされた。アウラはルッカの様にゲートホルダーを持ってた訳ではない。
あるとき恐竜人の部族が崖際にできた不自然な黒い空間(ゲート)を見つけた。
恐竜人達はその穴の正体が一体、何なのか、好奇心や疑問を持った。
誰が先に勇気を出してそこに飛び込めるかを競争し、そこでゲートに飛び込んだのがアウラだった。
ゲートの出口はなく、ハッシュの力で時の最果てに飛ばされたアウル。
そんなアウラの元に未来からゲートホルダーを持ったガッシュが現れた。
アウルが辿ってきた空間の歪を見つけたガッシュは、それをこじ開けけることでアウラを元の時代に帰してあげる事に成功した。
だがアウラは帰らなかった。目の前にいる人間ガッシュに興味を持ち行動を共にした。
ガッシュは未来と原始時代を行き来し、アウラはそれに付き添い、未来のコンピュータを見つけた。
アウラにはコンピュータを理解する事は無かったものの、原始時代でそれと似たような物を知っていた。
アウラはガッシュに恐竜人の遺産へと案内した。ディラン城屋上の渡り廊下を抜けた先の塔。そこに恐竜人が生み出したコンピューターがあった。
操作パネルはなく、石に触れて念じて操作するもので、映像も石に映る仕組みであった。
このシステムは魔学的に生み出されたものだとガッシュは理解した。
魔学的にそれを作るのであれば、ラヴォスエネルギーが存在していな、ガッシュにはラヴォスの気配を感じる事はできなかった。
だが石のコンピューターはラヴォスが過去に地球に存在していて、その頃に作られたものだとガッシュは推察した。
石から得られた情報もそれを示していた。石には過去に何度もラヴォスが飛来していた記録があり、次のラヴォス飛来予定日も記されていた。
クロノ達が知る飛来してくるラヴォスを含めてBC65億年から古代BC12000年までの間に109体のラヴォスが地球に衝突する。凡そ6000万年に一体のベースでラヴォスの衝突日時が記録されていた。
ガッシュがその事実をアウラに話したかは定かではないが、アウラは石のコンピューターの使い方をガッシュから教わった。
アウラにとってはガッシュは知識の宝庫だった。
ガッシュを知る為に人間の言葉を知りたがった。
ガッシュが石を調べていくと、過去から未来に至る文明毎の言語翻訳の知識を脳内にインストールできるシステムが備わっている事に気付き、アウラにそれをインストールした。
アウラはその力で言葉の異なる多民族を束ねた。
徐々にアウラを取り巻く恐竜人達の見方が変わった。
部族の長、ディラン城の秘められたシステムを起動できる唯一の存在として、偉大なる人物としてもてはやされると共に子孫を残した。
その子孫がクロノ達の知るアザーラだった。
アザーラはアウラと同じく石を使いこなした。
ガッシュの関与でアウラは人間に偏見を持たなかったが、後世のアザーラは違った。
作品名:古代人とクロノトリガー続編 作家名:西中