■ジャキのタイムトラベル
人間を抹殺しようと思うものの、何人殺そうが世界のどこか、宇宙のどこかに人間はいる。殺しても不安は一生解消されないと思ったラヴォスは、1200年に地表に這い出てきた。人間を侮れないと思っていたラヴォスは人間に敵意を向けられたくなかった。人間に成りすまして生きる為にガルディア王に寄生した。
ラヴォス自身も知らなかったが、他生物に長きにわたり寄生すると、その生物の思考に染まる性質を持っていた。人間に寄生し続けた事で、人間特有の孤独や寂しさを知り、生きる事がままならなくなっていた。
『人間よりも強いのに人間に殺される不安が解消されない』
不安を与える人間の存在に次第に人間への怨みを募らせていったラヴォスは人間として有りたい自分とラヴォスとして有りたい自分との境目で自我を保てなくなっていった。
ラヴォスはラヴォスとして、また人間として生きたかった。全ての人間として生きたかった。
ラヴォスは人間と一つになり究極の生命体になろうと決意した。
全ての人間の意識を束て自分の精神と同化させる。その為の装置を作る必要があった。ガルディアの研究者達はラヴォスの意は汲み取らなかったが、ラヴォスの意に従う振りをした。
研究者達は【全ての人間の意識が一つになり融合する】事については、ある種の理想郷へ繋がるものと信じた。
研究者達は地球上の全ての人から意識を抜き取り束ねる機械を極秘に開発し、1800年に実行した。ジャキ達は未来2300年にてその成れの果てを見てきた。
だがジャキがタイムスリップしてラヴォスに会う事で状況が変わった。
ラヴォスの正体を知る者の存在ジャキ。ラヴォスが人間として生きる為には正体を知るジャキの存在が邪魔になると思い、咄嗟にタイムゲート作り追いやった。
だがラヴォスには疑念が残った。ジャキの存在は一体なんなのか。突然の事で思わず聞きそびれてしまったラヴォスはタイムゲートに乗り込みジャキの後を追った。
ラヴォスはタイムゲートの出口までは作る事はできない。時の狭間に追いやる力しかなかった。
ジャキは時の狭間の何処かに彷徨っているものだと思っていた。しかしジャキはスペッキオに救助され探しても見つからない。
1200年、ラヴォスは人間として生きる事に加え、、ジャキに対する疑念と共に生きる事になる。
ラヴォスはジャキが何処かの時代に偶発的にたどり着いかもしれないと思い、タイムマシンを開発させた。ガルディアの研究部は、ルッカの残した遺産の中に開発のヒントを見つけた。
ラヴォスは過去と未来を調べ、ジャキの気配が古代ジールと中世に存在している事に気付いた。
ジャキが自身と縁深い間柄なのだと気付くと共に、魔法技術を使いタイムトラベルしてきたのだと知る。
ラヴォスにも魔力はあったが、ラヴォスはその力を深くは知らなかった。
自身に備わる魔力についてガルディアの研究者と共に解明し、魔学と科学を融合してジール王国の様な天空大陸を作り出した。
【人間の意識を統一する】その様な野望が生まれる事のない世界が生み出されていた。
変わりに【今の超文明を失いたくない。誰かがタイムトラベルして歴史を変えたら困る】という信念の元、タイムマシンで過去の時代へ行こうするタイムトラベラーを阻止する様になる。
ジャキが古代ジールに関わりを持ち歴史を変えようとするのは判っていた。
ラヴォスの組織はジャキにスパイロボを取り付けて動きを監視していた。
ジャキとルッカはガルディア王に寄生したばかりのラヴォスに2度目の対面をしようとしていた。
ラヴォスはどうするべきか悩んだ。ややこしい事になる前に、二人を処分するべきかと考えた。
未来のラヴォスは人の心を持ち慈悲深くもなっていた。
ジャキをキッカケにして今の自分がある様なものであり、殺す事はもう考えられなかった。
ラヴォスはルッカとジャキが1200年のラヴォスに会う直前、自分以外の空間を止めた。スロウを重ねかげして、ルッカとジャキをタイムマシンに載せ、天空大陸へと運んだ。
ラヴォスはジャキに敵意が無い事を伝えると共に、サラを助けてくれるという。
サラがラヴォスの災害に巻きこまれる前に未来の天空大陸に連れてきてくれるという。
〜BC12000〜
サラはラヴォスを覚醒させない様に魔力を注ぎこみ、制御しようとしていた。
そこへ幼年時代のジャキが現れラヴォスの生み出したタイムゲートに飲み込まれる。
ジャキが飲み込まれたショックでサラの集中力が途切れてしまう。ラヴォスはその隙に覚醒した。
クロノ達は覚醒したラヴォスと戦うも
ラヴォスの世界を破壊するエネルギーに巻き込まれ倒れてしまう。
クロノは消滅の攻撃を受ける。
時が止まる。
クロノトリガーが使われ世界の時間が止まっている隙に未来からマールが現れてクロノを救出して未来に戻っていく。
ラヴォスは破壊のエネルギーを使い尽くし、再び地殻を掘り地面に潜り込んだ。
サラは倒れているクロノ不在のメンバーにアレイズをかける。
ラヴォスが開けた地殻の穴がら溶岩が湧き出ている。海底神殿の天井からはラヴォスの光で穴が空き、海水が流入している。
ラヴォスは覚醒してしまい、魔神機はラヴォスからエネルギーをもう吸い取れず、海底神殿から地上に通ずる脱出口のテレポートシステムは機能しなかった。
サラは魔力を使い果たしていた。
サラは死を悟った。
サラは残された少ない魔力でクロノ不在のメンバー達を海底神殿からテレポートさせて逃がした。
自身は戻れる力は残っていない。
諦めたかけた頃、β世界線のジャキがタイムマシンで駆けつけた。
『姉様! 早く乗ってください!』
『あ、あなたは!? まさかジャキ!?
『急いでください! ここはもう直ぐ…』
サラが呆然としていると、ジャキはサラを抱えてタイムマシンに乗せる。
その瞬間、溶岩に飲み込まれる海底神殿。
海水と溶岩が混じり合う頃、ジールはラヴォスの力を借りてバリアに守られていた。
ジールの不老不死への執着、思念がラヴォスエネルギーを引き出す事に成功していた。ラヴォスはジールの執着の中にラヴォス自身を守ろうとしてくれる優しさを見つけ、共鳴していた。ラヴォスにとって誰にかに守られる感覚は始めてで新鮮だった。
望みどおりに不老不死に必要なエネルギーがジールに貯まる。
ジールは余ったエネルギーをラヴォスを守る為の防衛要塞を作ることにした。
神殿に術式を描き、神殿を浮上させる。
空に浮かびラヴォスを護る黒の夢になる。
ジールは蘇ったクロノとそのメンバーが倒すが、ラヴォスはジールを消された事に怒りを覚えた。
クロノ達に戦いを挑むべく、海面からジャンプしてくる。
ラヴォスは戦いの末、倒されて海底神殿と共に海に落ちていくが、クロノ達は、ラヴォスの気配が全く死んでない事に違和感を覚えた。ラヴォスの目から内部に入り、海水が流入しない様にバリアで蓋をした。
-
この後ラヴォス本体は倒されるが、この出来事を察知したラヴォスは983年のタイミングでクロノを抹殺した。
作品名:■ジャキのタイムトラベル 作家名:西中