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■ジャキのタイムトラベル

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クロノは生まれては来れず、古代でジャキには会えない筈だが、その事象に関係なく、ジャキとクロノ達は会う歴史が成立した。過去に戻りサラを救う事もできた。

【クロノ達がラヴォスを倒した世界線a】

【ラヴォスがクロノを殺した世界線c】

aとcが同時に成立しつつ、古代の世界でのみaとcの世界線が重なり合う不思議な世界。それがβ世界線である。



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■中世650年



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中世650年


〜あらすじ〜
最果てのゲートから中世650年。魔族は衰退し、人間による魔族狩りが横行していた。

本文

『嘘でしょ伯父さん!』

サイラスが魔王に殺されなかった世界線。グランドリオンと勇者バッジはサイラスの遺産として子孫に受け継がれていた。

「魔族が悪さしてたのは昔の話だ。今はこんな剣、大事に持ってても宝の持ち腐れにしかならないんだよ」

「だからって売らなくってもいいだろう?
サイラスの子孫がカネに困ってるなんて思われたら当家の恥だよ」

「世間体なんて知るかよ! オレは売ると決めたんだ。」

「カネに困ってるならオレが貸すから!」

「うるさい! 相続権はオレにある。部外者が口を出すんじゃない!」


グランドリオンはオークションに出品された。落札したのはどこぞの金持ち親子だった。

親子は魔族狩りを楽しむ為、魔王城跡地の森へと向かった。

ジャキはオークションを見学に来ていた。
グランドリオンから懐かしい気配に誘われる様にそこにいた。

ボッシュは赤い剣(グランドリオン)を錬成する際、自身の魔力を注ぎ込んでいた。そのボッシュの魔力の気配を感じてジャキはオークション会場で立ち止まっていた。

ジャキはグランドリオンの行方に誘われる様に親子の後を追いかけた。

親子は魔物が潜むかもしれない森にずかずかと入り込んでいく。グランドリオンさえあれば怖い物はないと思っているのだろう。

ジャキは森の中の気配を探した。
魔物が1体近くに潜んでいる。
だが魔物は親子を襲うつもりはない様で、隠れてやり過ごそうとしている。

親子に黒い風が漂うなら助けるのもやむ無しと思っていたジャキ。

親子が諦めて帰った後、魔物はゆっくりとジャキの前に姿を表した。

どことなくビネガーに似た風貌の女の子だった。

「あなた…人間に似ているけど人間じゃないわよね…。魔力の気配あるし…」

ビネガーに気配が似ている気がした。ビネガーの子孫なのだろうか?

「え? 貴方、おじいちゃんの事知っているの?」


「昔、世話になった…。」


ジャキにとってビネガーはこの世界で最初に出会った魔族だった。
ラヴォスゲートに飛ばされて直ぐ、人間に間違われ、目の前にいたビネガー率いる魔族達に襲われた。

魔法を使って応戦した事で直ぐに人間ではない事が伝わり、争いは避けられたが、ビネガーは魔法の存在に強く興味を示し、ジャキを魔王城へと招いた。

ビネガーはその頃の魔王でマヨネーやソイソーとはまだ手を組んでいなかった。

低級魔族のみを支配下に置いていたビネガーは人間世界に攻め込む為の人材を集めている最中だった。

ビネガーはジャキのチカラを研究すると共に、将来魔族の役に立つと思い魔王城に住まわせた。

ビネガーによるジャキへの待遇は悪くなく、ジャキは生活の雑務の殆ど城の使用人に任せて、サラを探し回った。

人間の村へサラを探しに行くと、ジャキの耳のカタチが尖っていていたのが原因で魔族に間違えられ、人間に襲われる経験をしたジャキ。
ビネガーはそんなジャキに「お前の姉上も人間界に居場所はないだろう」そう言って、姉探しを諦める様に促した。

ジャキもビネガーの言葉に一理あると思った。姉がこの世界にいるとすれば人間界ではなく、自分の様に魔族世界で保護されているだろう。魔族王ビネガーの情報網に頼る方が懸命だと思い。人間界でのサラ探しを諦めると共に、過去に帰る為の魔術研究に没頭した。

ビネガーはその研究を人間に戦争を仕掛ける為のものだと思い、ジャキを温かく応援してくれた。ジャキはそんなビネガーを裏切り、未来へと飛んでしまった。
そうしてビネガーの子孫に出会ったジャキ

「昔、世話になった…。」

「名前はなんていうの?

「…ジャキだ。」

「ふーん、ジャキ君ね。私の名前は…」


『そこの少年! 化物に手を焼いているなら私が手を貸そうか?』

さっき帰った筈の親子だった。親はグランドリオンを構え、こどもの前で魔族狩りの手本を見せようとしていた。


少女は戦闘態勢に入り、蹴りを手首に攻撃し、親子を追っ払った。

「あのまま帰してもいいのか? あの親子、人を呼んでくるぞ」

「そうだよね…。でも親子連れだし、あまり酷いことはしたくないし…」

居場所がバレたから魔族狩り目的の人間達が押し寄せてくる。どこか逃げられる場所はないのか?

「東の大陸に魔族達が住む村があるという噂を聞いたけど、でも私、泳ぐの苦手だし…」

ジャキは少女を抱えて空を飛んだ。



最果てのゲートから1050年。ジャキはふと立ち寄った店でビネガーに似た少女がレストランでウエイトレスをしているのに気付いた。

400年の間に何があったのか判らないが魔族への偏見は無くなっていた。

ウエイトレスがジャキを見て話しかけた。絵の中の人にそっくりだとという。

ウエイトレスによると、昔、一族祖先を守ってくれた魔族がいたという。先祖は助けてくれた恩人を忘れない様にと絵を書いたという。その絵は代々伝わり、今でも家に飾ってあるという。

ジャキは自分とそっくりなその絵を見せてもらった。

絵には少ないが魔力が残っていた。400年前に助けただろう少女の気配。
ジャキはしばらくその絵を眺めた…







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■古代ダルトン王国



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サラを助けた後、古代ジールの行く末がどうなったのかを確認に向かったジャキ。

崩壊した筈の天空都市は再建され新たな国王はダルトンになっていた。

天空都市の動力源は太陽石である。崩壊と共に海に沈んだものを回収し、再運用していた。

相変わらず魔力無き人間は差別され、地の民と天の民は別けられていた。

太陽石の仕組み上、太陽に近ければ近い殆、エネルギーが得られる。ダルトンは事業拡大の為に、天空都市を遥か上空、成層圏まで登らせた。

空気の薄さの問題は都市にバリアを張り空気を溜め込む事で解決された。

ラヴォスの光で古代人の多くが死滅し、天空都市の住人は少数だった。皮肉な事に太陽石のエネルギーは多く余り多様な用途へと使う事ができた。

無重力の宇宙空間にまで出てしまうと、大陸の重さを支えるエネルギーは不要になり、代わりに宇宙空間の絶対0度に対する気温調節にエネルギーを割り当てる様になる。

ダルトン王国はエネルギー不足を回収する為、太陽へより近づいていった。

こうして魔法が使える古代人は地球からいなくなり、魔力の無い人間と、生まれたばかりの魔族達が繁栄した。



〜原始時代について〜
作品名:■ジャキのタイムトラベル 作家名:西中