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時をかける女王

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ラヴォスの影響で人間は魔力を使える様に進化し、氷河期に適応したが、魔族の祖先はまだ知能が足らずに魔力を都合良く扱えなかった。魔族祖先は魔力の応用力が足りず、偏った力を持っていた。例えば寒い古代においては体温調節機能のみが飛躍的に発達した種が生き延びていて、熱や冷気に強い防御耐性を持っていた。現代においては、その機能が退化した種も繁栄できているとはいえ、この時代の魔族先祖は進化の途上にあった。

王国ジールの勢力で住処を追われ、人目を避ける様に洞窟に住んではいるが、ジール王国が滅亡してからは、彼らは急激に繁栄する事ができ、中世、現代の様な魔族へと進化することになる



「ライト!」
ボッシュが魔法で光を灯した瞬間、魔族が目の前にいた。
クロノ達の悲鳴が洞窟に響き渡る。
だが一番悲鳴を上げたのは魔族の方でボッシュは比較的冷静だった。

突然住処に侵入してきた人間に驚き、魔族達は逃げ出した。

「ここはどこじゃろうか…」
ボッシュは風の流れを視覚化する魔法と方位を知る魔法を使い、出口を探した。

マール
「ボッシュって変わった魔法が使えるんだね…他に何が使えるの?

ボッシュ
「ワシはジール王国では生命魔学の賢者と呼ばれおった。回復や蘇生、何でもできるが、個人的に得意なのは魔法道具を作ったり修理系したりじゃな。たとえば剣に命を吹き込むこともできるのう。」

エイラがクシャミをした。露出がはげしくぷるぷる震えている。

ボッシュが魔力で熱を送った、

ボッシュ
「お前さんらはスペッキオから大雑把な魔法のやり方しか教わっておらんから、力のコントロールは難しいのかもしれんのう。 基本原理はファイアで、体温調節にも使えるじゃが…  

マール
「力のコントールっていうけど、私、氷魔法は使えるけど炎系は使えないよ?」

ボッシュ
「そうじゃな…
 魔法を使うとき、魔力が体から抜け出る感覚あるじゃろ? その抜け出る方向ってわかるかの?

マール「体から↑に抜け出る感じかな…


ボッシュ「なら上から下に抜け出る感覚をイメージしてファイアを唱えてみたらとうかの?


マール
「あ、出た。

 ルッカのよか小さいけど出たよ…」

ボッシュ
「魔力が抜け出る感覚を少なめでイメージして使うと火を出さず、熱を生み出せる筈じゃが…」

マールは自分に向けてファイアを放った。

「ほんとだ! 一瞬体がポカポカになった!」

マールはファイア呪文を連呼した。

ボッシュ
「本来なら無詠唱で魔法は使えるんじゃが、お主ら古代人じゃないからのう…。
 体質的に無理じゃろうな…」



ルッカ
「タイムトラベルをする魔法ってないの?」

ボッシュ
「それは兄、ハッシュの専門分野じゃった。ワシはあまり詳しくない。ワシが知ってるのはせいぜい未来への擬似的ワープくらいかの…。

ルッカ
「ワープ?」

ボッシュ
「スロウ系魔法があるじゃろ? 空間に向けてスロウを重ねがけして、その空間の時間の流れを極端に遅くするんじゃ。その中に入れば、外の世界は早いスピード進むことになる。これがある意味での擬似タイムトラベルじゃ」

ルッカ
「へー。じゃあ、原始時代から帰れなくなっても大丈夫そうね…」

ボッシュ
「かなりの魔力を使うからのう。巨大な魔法陣でも描いて代用魔力を得ないと実用性がないのう。原始時代とかラヴォスがまだ飛来しておらん時代からだと、魔法陣で得られる魔力も少ないから現代まで帰るのは不可能じゃろうな…」


ボッシュ達は洞窟を抜けた。
一面雪の降る世界。ボッシュにとってな懐かしい景色。


ボッシュ
「あ、あの光の柱は!」

白い世界で、天から伸びている光柱を見てボッシュは喜んだ。

「良かった! 天空都市は健在じゃ!」

「なんじゃ〜
 ビビらせおって! 
 未来の映像は所詮未来の出来事。
 これでジール様に胸を張って報告ができる


 後はダルトンの問題だけじゃが、奴が王宮をどの様に私物化しておるのか、考えるとゾッとするのう。」




〜入国管理局〜

「武器はここであずかりますので…」


ボッシュ
「ご苦労さん」

「やや! ボッシュ様ではありませんか! 失礼しました。どうぞこのままお通り下さい…」




〜王宮〜

「おい爺!」

「はい、なんでごさいましょうかジャキ様」
振り返り、いつもの癖で反射的に答えたボッシュ。
ジャキはタイムゲートに巻き込まれて中世で魔王の仕事をしていたはず。なぜ、どうして、と
ボッシュの頭は混乱していた。


「爺! 服がボロボロじゃないか! そんな姿で王宮をウロウロするとは教師の恥だぞ!」

「あと、そこの女! ほとんど裸姿じゃないか! 一体王宮を何だと思っているのだ! おい爺、聞いているのか? 早く女を連れて行け」

「申し訳ありませんジャキ様、直ぐに着替えてまいります」
ボッシュいつもの癖で応対した後、エイラを世話役に預け、自身の部屋へと向かった。

ジャキはロボを珍しそうに見ながら、あちこち触ってる。


「姉様ー!」
ジャキはサラを呼んだ。面白そうな玩具を早く教えてあげたい。

「どうしたのジャキ」
サラが奥から出てくると、クロノ達に挨拶をした。
 



「皆さんは異国の方でしょうか?」

マール「え?どうして?」

サラ
「お召し物が見た事ないものでしたので」


マール
「え、えと、私達遠くの所、ガルディアから来たのです」

サラ
「ガルディア…
 ああ、あの国ですね。あの国は…
 良い所ですよね〜」

サラは王宮の鏡でもある。。メンツを重んていて『知らない』とは言えず、話を合わせた。


ボッシュは部屋で着替えていた。
4着ある筈のいつもの作業服が1着ない。
ボッシュはカレンダーを見て思い出した。この時代のもう一人の自分の存在を。

もう一人のボッシュは今、ラヴォス実験に備えて、いざという時の為に魔神機を破壊する剣を作っていた。
ラヴォス実験は2日後に迫っていて、この時代のボッシュは急いで作業をしている。

ボッシュは作業室へ走り、もう一人のボッシュと対面した。


「そうか…つまりお前さんは未来から来たのか…」


ボッシュ
「そうじゃ! 実験は失敗して、大変な事になる。未来で見たラヴォスは世界を破滅させたんじゃ。」

ボッシュ
「そうはいうが、ここは天空都市じゃぞ。ラヴォスが光の柱とやらで世界を破壊するとしても、この高さまで届くとは思えんが…

ボッシュ
「確かにそうじゃけど…」

ボッシュ
「お前さんも知っているじゃろうが。我らに選択肢ない。ダルトンとその背後にいる奴らの意には逆らえん。やるしかなかろうが。

ボッシュ
「確かにそうじゃけど…」

ボッシュ
「タイムゲートに飲まれたとして、助かるじゃろ? ならそんなに深刻には…」



ボッシュ
「兄さん達は死んだのだぞ!」

ボッシュ
「だったら、魔神機に剣刺したら直ぐに逃げれば良いじゃろうが。タイムゲートにまきこまれる前に。」


ボッシュ達はガッシュとハッシュの元へ行った。


ガッシュ、ハッシュ
「まさかワシが死ぬとは…」

ボッシュ
「兄さん達はどう思う?」

ガッシュ
作品名:時をかける女王 作家名:西中