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時をかける女王

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エイラ達が「何が見えるのか?」と聞き返したのであればここでのクロノ達のシナリオも大きく変わったのかもしれない。


エイラ達の会話のやり取りの隙にボッシュとマールとルッカがプテラに救出された。

それを見たアザーラはティラノでクロノ達に突進、噛みつき攻撃をした。

苦労して寸前で交わすクロノに対して、ロボはティラノの動きを計算し、ちょこちょこと無駄のない動きで避ける。

ティラノには首輪がついていた。
鎖は繋がれていない。根本から30m程あり、ズルズル引きずっている。

クロノは塔の中に鎖を繋ぐ杭の様なものがあると考えた。

鎖を繋げたらと考えたが、重くて持てる代物ではない。
案の定、どうにもする事も出来ず、杭のあるフロアで逃げ惑った。

アザーラはどうやって重い鎖を外したのか。

クロノは奥の部屋へと逃げた。
奥の部屋は狭まっており、ティラノは入れない。
クロノは一先ず助かったと息をすると、目の前に椅子とモニターの様なものを見付けた。
椅子もモニターも石で作られてる様なデザイン。
座ってみるも座り心地は悪くない。

恐竜人のコンピューターだろうか、未来で見た形とも違い、スイッチがない。画面に触るも何も変化がない。

画面には隕石が大地に衝突する光景が繰り返し映っていた。

現代では隕石についての知識がまだない。クロノは映像が何を意味するのか、この時は分からなかった。

巨石龍は渡り廊下へと戻っていた。
既にロホもプテラに乗り込んでいて、エイラとキーノ、クロノを待つ為に旋回している。


巨石龍は廊下の中心にて止まり、アザーラは空を見上げていた。

静かになったアザーラにプテラが近づこうとするが、罠と思い、近づけないでいる。


エイラがこれまでとは違う口笛を吹き、キーノに合図を送ると、二人は大きく飛び、橋から飛び降りた
プテラは急降下して、二人を受け止める。


クロノが鎮かな渡り廊下を不思議に思い恐る恐る覗こうとすると、マールが叫んだ。

クロノも飛び降りる様にと。
エイラもキーノも飛び降りたから、大丈夫だという。

クロノは高さにビビった。いつ襲ってくるか分からない巨龍も恐れた。
不安と不安が入り交じる中で、ロボのセンサーがラヴォスを探知した。



ロボ
「皆さん大変です。空に…ラヴォスがいます。」



ルッカ
「え? ラヴォスが上に? どういうこと?


ロボ
「予測約、直径1km、質量80万トン、秒速30km。ラヴォスがここへ落ちてきます。
このあたりの地表直径10kmが吹き飛ぶ計算です。」


ルッカ
「え? 

ルッカはロボの話を聞いてもピンと来なかった。
『直径1km、質量80万トン、秒速30km、それが落ちてきて直径10kmが吹き飛ぶ』ということの意味を冷静に頭にインプットするには10秒の時間を要した。


ロボ 
「グズグズしているヒマはありません!
 ラヴォス衝突まで後40秒しかありません。」


ロボはプテラから飛びおりてクロノへ走った。
関節部位がカャシャカシャと音を立てる。

クロノを押し出し、ロボも廊下から飛んだ。

クロノとロボをプテラがキャッチしたとき、

上空が小さく赤光りした。


アザーラはまるで花火見物するかの様に空を見上げていた。もしかしたらバリアで自分だけは助かるとか思っているのか?


ラヴォス衝突まで残り30秒でルッカは顔面蒼白になった。

「や、ヤバイ!とにかく皆逃げて!ここから離れて!」

ルッカは死にものぐるいで叫んだ。

ロボとルッカ以外、問題の重大性を認識していない。

一般的に隕石が大気圏に突入して減速が期待できるとしても、最大でも半分の秒速15km程度にしかならず、このラヴォスは時速5400kmで地表に衝突する。

鳥特有の地場の変化を察知して逃げるとしても、大気圏に突入してからでは手遅れである。


ラヴォス隕石が途方もない磁場を生み出しているのなら、プテラが危険を感知することもあり得ない説ではない。
ラヴォスは地表に衝突すると古代へのゲート、(時空の歪)を生み出すので、プテラがラヴォスの異常な量の地場を感知することも、有り得ない話ではない。
あり得ないとクロノ達はここで全滅するしかなくなる。


そんなこんなで

プテラが気を効かせて飛び立った。

プテラが異常な地場に驚いて、我武者羅に飛んだ。
そういうことにして…
運良くクロノ達は助かった。



アザーラの目的は何だったのか。

ティラン城の秘密は一体何なのか。

クロノファンなら妄想で補うしかない…







-



――――――――――――――――――――――――――――

■16話

ラヴォスが衝突したところは火山が噴火したかの様に上空まで砂煙を舞い上げた。
衝突の高エネルギーで砂の原型すらとどめない微粒子が空を覆う。

砂埃が鳥ですら届かない上空にまで巻き上げられるなら、鳥も含めて絶命するだろう。地上で生活するニワトリの様な鳥なら、とうだろうか?

一説によると、巨大隕石が衝突すると、その衝撃による高温高圧で土の分子は細かく分解され、その煙は数ヶ月、あるいは何年も上空を漂い、光を遮るという。

微粒子の砂は雲の水分と吸着し重力と共に落ちるので雨が降る。その隙間から光がある程度地表に届くとしても常に空に雲がある訳でもない。

空の全ての雲が雨になったとしても、煙は残るとして
イオカ村は曇り空の中で生活することになる。
気温はぐんぐん下がり続け、
体温調節の苦手な爬虫類系は絶滅するだろう。



-

エイラは水辺でプテラの身体を洗っている。藁の様なものでゴシゴシしている。

ラヴォスの衝突を近くから巻き込まれたプテラとクロノ達は水辺でススを落としていた。

プテラ達はエイラの世話になり、クロノ達も見様見真似で手伝った。



ーイオカ村、エイラの家ー

エイラ
「クロたち、これからどうする?

クロノ達はラヴォスの生み出したクレーターが気になった。

エイラ
「ならエイラも連れてけ。恐竜人から、クロたち守る」


クロノ達がクレーターに近付くとゲート探知機が唸りを上げた。

クレーターの中心点でゲートを発見したクロノ達。


ルッカ
「エイラ、この先はどんな危険が待っているか分からないわ。」

エイラ
「エイラ行く、危険、大丈夫。闘う、好き!」

マール
「なんか、寒いな…昨日と比べて今日やけに寒くない?

ボッシュ
「もしかすると、ラヴォスのせいかもしれんな。あのあと、大雨が降って、今もまだずっと曇り空じゃ。」

ルッカ
「なんか嫌な曇り空ね…早く晴れたらいいのに…」


原始時代から古代までは60億年以上の間がある。
その間に地殻は大変動し、隆起し、ゲートのある場所は山脈になっていた。
故にゲートの出口は山脈内。洞窟内部、6人はまず洞窟から外へと通ずる道を探さなければいけない。
原作設定の様に都合良く出口はなく、洞窟内には魔族の祖先が住んでいた。
作品名:時をかける女王 作家名:西中