■クロノと古代人トリガー(改稿)
サラがラヴォスと意識を繋ぐというのは、ラヴォスが意識を繋いでいるジールともまた繋がるということ。ジールの気持ちが判りすぎて、止める様な無粋な真似はできなかった。
止めるにしてもラヴォスへの対処方法も判らずでは無責任でもある。
「お母様、有難う。」
サラはジールに感謝と別れ告げると、この状況を民に説明する為、国へ戻った。
ラヴォスが封印され、天空都市を維持するエネルギーはラヴォスから得られない。
天空都市は落ちている。
ジールの人々はこれから地上で暮らす事になる…
〜アザーラとガッシュの関係〜
ガッシュが原始時代に訪れたのはクロノ達が原始時代へ来る100年程前だった。
ガッシュは未来の2100年にデータベースから、ルッカの論文テレポッドを参考にルッカと同種のゲートホルダーを作り、時の最果てに辿り着いた。
最果てには一人の恐竜人がいた。
その恐竜人の名前をアウラという。
アウラは崖にあるタイムゲートに飲み込まれて最果てに飛ばされた。アウラはルッカの様にゲートホルダーを持ってた訳ではない。
あるとき恐竜人の部族が崖際にできた不自然な黒い空間(ゲート)を見つけた。
恐竜人達はその穴の正体が一体、何なのか、好奇心や疑問を持った。
誰が先に勇気を出してそこに飛び込めるかを競争し、そこでゲートに飛び込んだのがアウラだった。
ゲートの出口はなく、ハッシュの力で時の最果てに飛ばされたアウル。
そんなアウラの元に未来からゲートホルダーを持ったガッシュが現れた。
アウルが辿ってきた空間の歪を見つけたガッシュは、それをこじ開けけることでアウラを元の時代に帰してあげる事に成功した。
だがアウラは帰らなかった。目の前にいる人間ガッシュに興味を持ち行動を共にした。
ガッシュは未来と原始時代を行き来し、アウラはそれに付き添い、未来のコンピュータを見つけた。
アウラにはコンピュータを理解する事は無かったものの、原始時代でそれと似たような物を知っていた。
アウラはガッシュに恐竜人の遺産へと案内した。ディラン城屋上の渡り廊下を抜けた先の塔。そこに恐竜人が生み出したコンピューターがあった。
操作パネルはなく、石に触れて念じて操作するもので、映像も石に映る仕組みであった。
このシステムは魔学的に生み出されたものだとガッシュは理解した。
魔学的にそれを作るのであれば、ラヴォスエネルギーが存在していな、ガッシュにはラヴォスの気配を感じる事はできなかった。
だが石のコンピューターはラヴォスが過去に地球に存在していて、その頃に作られたものだとガッシュは推察した。
石から得られた情報もそれを示していた。石には過去に何度もラヴォスが飛来していた記録があり、次のラヴォス飛来予定日も記されていた。
クロノ達が知る飛来してくるラヴォスを含めてBC65億年から古代BC12000年までの間に109体のラヴォスが地球に衝突する。凡そ6000万年に一体のベースでラヴォスの衝突日時が記録されていた。
ガッシュがその事実をアウラに話したかは定かではないが、アウラは石のコンピューターの使い方をガッシュから教わった。
アウラにとってはガッシュは知識の宝庫だった。
ガッシュを知る為に人間の言葉を知りたがった。
ガッシュが石を調べていくと、過去から未来に至る文明毎の言語翻訳の知識を脳内にインストールできるシステムが備わっている事に気付き、アウラにそれをインストールした。
アウラはその力で言葉の異なる多民族を束ねた。
徐々にアウラを取り巻く恐竜人達の見方が変わった。
部族の長、ディラン城の秘められたシステムを起動できる唯一の存在として、偉大なる人物としてもてはやされると共に子孫を残した。
その子孫がクロノ達の知るアザーラだった。
アザーラはアウラと同じく石を使いこなした。
ガッシュの関与でアウラは人間に偏見を持たなかったが、後世のアザーラは違った。
ディラン城の偉大な遺産は人間の知識を遥かに上回るものであり、恐竜人こそが世界の覇者であり、人間は恐竜人に従属するべきと考えていた。
そんなアザーラもラヴォスの飛来で恐竜人が絶滅する未来に気付いた。
エイラ達をラヴォスの衝突に巻き込みたかったのか、あるいは単に恐竜人の遺産を自慢したかっただけなのかは判らない。バリアで自分だけラヴォスから逃れられると思っていたかどうかも判らない。
とにかく、アザーラを押し潰したラヴォスはまだ生きている。
クロノ達が飛来を目撃したそのラヴォスは古代のラヴォスとは繋がっていない。
65億年前のラヴォスの落下地点は古代では山脈になっていた。
古代でラヴォスが噴出した場所は山脈ではなく、遠く離れた海底神殿からだった。
原始時代と古代のラヴォスは別物である。
故にクロノ達の戦いは終わらない。
もしかしたら永遠に終わらない…
-
――――――――――――――――――――――――――――
作品名:■クロノと古代人トリガー(改稿) 作家名:西中