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悪魔言詞録

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72.地霊 サルタヒコ



 おう、おまえか! その節は世話になったなあ。

 ええ、初めて会うから何のことだか分からない? すまねえ、すまねえ。正確には、俺じゃあなくて俺の嫁が世話になったなあ、だな。俺ぁ、昔っから背格好はでけえし、力はあるんんだが、猿って名前の通り、言葉がちょっとばかり足りねえんだよな。

 いったい嫁ってのは誰だって? あんだよ、話、聞いてねえのか。どこでも踊りだす、すげえ色っぺぇ女をちょっと前に仲魔にしてただろう。あいつだよ、あいつ。

 いやさ、でもあいつ、俺にはできすぎた妻でさ、正直、普段は頭、上がんねえんだよな。ばかみてえに半裸で踊っているようにみえるけど、見てるところはしっかり見てるんだよ。そういうところがありがたいし、頼りになるし、なんつうか、たまらねえんだよなあ。

 でもさあ、そうかと思えば意外とおっちょこちょいなところもあってさあ。そこがまたかわいいのなんのって。そういうとこを見ちゃうとさ、あ、俺がしっかりして、こいつを導いてやらねえとって思っちゃうんだよねえ。いやあ、本当、ありがたい嫁だよ。

 なあ、おまえはそういうつれあいはいるのか。いねえんだったら、すぐにでも作ったほうがいいぞ。姉さん女房なんてのもいいだろうし、高飛車な同級生なんてのも悪かないだろうし、なんなら悪魔とくっついてもいいんじゃないか。あ、俺の嫁は駄目だよ、もちろんだけど。

 ……ところで、雄弁に語っているところ申し訳ないんだが、あんたの妻、ストックで話、全部聞いてるぞ?

 え、マジ? 今いるの? 全部聞かれてたの? なんかすっげー、恥ずかしいんだけど……。ああ、いや、うそではないよ、うそではないんだよ。全部、本当のことなんだけどさ。なんつうか、ちょっとのろけ自慢したかっただけなのに、まさか嫁がいるなんて……。

 取りあえず、仲魔になって嫁と一緒にストックに入っとくかって? はい、そうさせてください。

 でも、今後はもう少し口は慎むようにしないとなあ。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔