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悪魔言詞録

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11.妖魔 イソラ



 貴様、どのツラ下げてここまでやってきた! かつてこの地で行った所業、よもや忘れたわけではあるまいな!

 ……すっとぼけるか! どこまでもにっくき奴め!

 まあ、いい。ついでだ、我々がどれだけ貴様を恨んでいるか、とくと教えてやろう。我々イソラは、シンジュク大地下道のほぼ中央、この淀んだ水路で、幸福な生活をしておった。後から住みついたマネカタと呼ばれる者たちとも、上手に共存し、平和に暮らしておったんだ。この地に、貴様がやって来るまでは……。
 その瞬間からこの地は、まさに紅蓮地獄へと変わった。我々は、貴様やイヌガミの吐く炎に、なす術なく焼き尽くされた。無様に逃げ回ることも許されず、ただ、狩られることを余儀なくされたのだ! それだけでも、万死に値する所業。だが、それだけではない。貴様はあろうことか、我々の大切な親友である、マネカタをも奪ったのだ! ……とぼけるな! あれだけ仲が良かった、あのマネカタ。その大半が、アサクサの地へ行ってしまったではないか! それもおそらく、貴様の仕業であろう。我々を見捨てるよう、貴様がそそのかしたのだろうが!
 貴様だけは、何があっても許さぬ。貴様がどんなコトワリを創世しようと、我々の世界を破壊したことに変わりはないのだから。我とて、腐っても日の本の海神。毒牙と氷のブレスで、貴様を冥土に送ってやる!

 なに? それは悪かった? それにマネカタの件は誤解だ? ふん、今更言い訳など遅いわ。でも強くなるためには、仕方なかった? あなたも悪魔なら、分かるだろう? むむ。確かに、弱肉強食が悪魔の掟だが、それとこれとは……。それに、あなたももうこの淀みきった水路を抜け出して、飛び立つべきだと? ……要するに、貴様の仲魔になれということか?
 戯言も大概にしろ! 貴様の軍門に降るなど……。でも、マネカタのみんなにも会える? ……ぐぬぬ。

 ……よかろう。だが、少しでも話を違えれば、即座にその首にこの牙が食い込むと思え。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔