悪魔言詞録
146.女神 スカアハ
あらあら、ずいぶんかわいい男の子が召喚してくれたわね。あの子の言ってた感じとは違うけど、これはこれで……、悪くないわね。
あの子って誰だ? あら、いやだ。ついこの間までやりを使うのが上手なイケメンを仲魔にしていたでしょう。あのやりの使い方、実は私が教えたのよ。あの子はうちの学校に入る前からいろいろ頑張っていたし、すじも良かったし、物覚えもすごく速かった。本当に優秀な生徒だったのよ。
ええ、そう。クランの猛犬。あの子、私の門下生なの。名前の通り犬っころみたいに従順で、ときには番犬のようにもなって、ときには……、まあ、この話はよしましょうか、大昔のことだし。
でもね、最近、学校になかなか逸材が来なくて困っていたのよ。そりゃ、学校だから、普通の子を、どうにか一人前にして卒業させるのもお仕事だけどさあ。やっぱり、師である私がその才能にほれ込んじゃうぐらいのすっごい子が来てくれないかなって、ちょっと思っちゃうわよね。
ところで、あなた。ぱっと見かわいい系かと思ったけど、よく見るといい体してるわね。最初はちょっと期待外れかと思ったけど、あの子の言っていたとおり、いや、それ以上の逸材じゃない。やっぱり『猛犬』だけあって、こういう報告はちゃんと正確にしてくれるのよねえ。
ああ、こんなに優秀でかわいい子を、これから自分の思うように染め上げていくことができるのね。先生、もう今からドキドキが止まらないわ。ねえ、あなたのそのすごい能力を、存分に私に見せつけてっ!
……いや、今回は仲魔として呼んだから、そもそも教えを乞う気はないし、それに仲魔なので、一緒に戦ってもらう?
あら、そういうことなのね。先生、ちょっと先走り過ぎちゃいました。でも、そうは言ってもあなただって強くなりたいでしょう? 余裕のあるときに、ちょっと手ほどきをしてほしかったら、遠慮なく言ってね。
そしたら、先生とふたりっきりで秘密の授業、してあげるから。