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悪魔言詞録

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144.凶鳥 グルル



 なあなあ。おまえらさあ、もうちっとうまいこと仲良くできねえのか?

 あのM字ハゲのおっさんはともかく、あっちの兄ちゃんとこっちの姉ちゃんはクラスメイトだったんだろう? こんな受胎した場所でまでいがみ合ってねえで、いろいろと手を考えて付き合っていけばいいと思うんだけどなあ、俺は。

 まあ、そうも行かねえのが人間の性ってやつなのかね。俺たちも神なんて言われて仰々しく振る舞ってはいるけれど、仲の良い悪いは結構あるし、それでいさかいを起こしたりってこともあるしな。

 俺もさあ、別の人格というか鳥格?だと、まあまあいい評価をされているわけよ。航空会社の名前にまでなってるくらい。でも、別の地域に行くと、なんかめちゃめちゃディスられまくりなんよ。話だけ聞くと、信仰の違いが理由らしいんだけどさ。もうそっちじゃ悪鬼羅刹みたいな扱いなの。ほんとひどい扱いされてんのよ。

 俺たちもなんだかんだ言って人気商売だからさ、やっぱこういうのは嫌だわな。でも、なんかおまえらを見てて、ちょっとわかった気がするわ。

 やっぱ人間ってのはどっかで争わなきゃならない生き物なんだ。争いなんていうと大げさになるけどさ、人間関係でも小さくマウントを取ってみたり嫌みを言ってみたり、結局のところ優越を競わないとやってはいられない奴らなんだよな。

 だって、そうだろう。信じている神が違うってのは人間の根幹に関わる話だ。この違いで戦が起きるってのは歴史も証明してる。でもさあ、学友同士で殺し合いって、悪魔でもそうそうやらねえよ。恐ろしいことをしてるって自覚、本当にあんのか?

 ……わかったよ。ちょっと言い過ぎたよ。

 まあ、おまえは半分悪魔だし、やつらもこの世界に来て変わっちまったんだろうとは思う。でもさあ、そんな4人と、消えた奴らすらもまるごと飲み込めるようなコトワリがありゃあ、悪神と言われてさげすまれ続けている俺の留飲もちったあ下がるのに、と思うんだよなあ。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔