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悪魔言詞録

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109.天使 ドミニオン



 天使なんていうと神々しいイメージがありますけど、実際のところはそれ程でもないというか、実は大して人間と変わらなかったりするんです。

 私たちドミニオンは、神の威光を知らしめたり、他の天使たちを統制したり、最後の審判によって裁かれた人間を滅する役割を持っているんですが、正直な話、どれをとっても大変な仕事なんですよ。

 まず、神の威光を知らしめるといっても……、そんな簡単にはいきませんよねえ。神に奇跡などをお願いするわけには行かないし、でも、言葉だけじゃ人はなかなか納得して信じてくれないし。これではサンプル品を持ち歩かずにセールスマンをするようなものですよねえ、全く。せめて過去の実績などを説明できればいいのですが、かつての奇跡はまやかしだとかタネが割れているとか、決めつけられているようで、あんまり役には立たないんですね。

 次の、他の天使たちを統制するという仕事もなかなかに大変です。天使なんて、神にかしづいている画一的な存在だと人間は思っているかもしれませんが、中には悪魔になりかけの半ば堕天使を名乗ったほうが良さそうな輩や、自分が神に取って代わろうと心の奥底で思っている野心家も案外多いのです。こんな面倒くさい奴らを束ねてどうにか目的を遂行させねばならないんですよ。胃がキリキリ痛んできてしまいます。

 しかもですよ、そんな私らが審判の日に許され得ぬ人間を滅ぼさなければならないんです……。いえ、まあ、仕事だからやりますけどね。正直、考えるだけでもこりゃあ難儀な仕事ですよ。罪があるとは言え、人間どもをまとめて成敗しなければならないんですから。

 こうやって考えると、つくづく自分は貧乏くじを引いているなあと思います。でも、皆さんも決して楽じゃあないでしょう。ええと、確か、人間の場合はシャチクだとかいうんでしたっけ?

 私も人の子の中にいる優秀なシャチクたちに負けないように、一生懸命、仕事をしていく所存ですよ。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔