二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
自分らしく
自分らしく
novelistID. 65932
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

彼方から 幕間3 ~ エンナマルナへ ~

INDEX|8ページ/8ページ|

前のページ
 

「紹介しておかなくてはな……わたしの友人であり、グゼナの元大臣でもあるエンリとカイノワだ」
 少し……
 疲れたような口調で、ジェイダはそう言いながら、自身に後ろに控えている二人の下へと、歩を進めていた。
「あなたの話しは、皆から良く、聞かされていますよ」
「道中、何かわたし達にでも出来ることがあれば、何なりと言ってください」
「こちらこそ、最善を尽くさせていただきますわ」
 二人と、共に握手を交わすエイジュ。
 その間に、ゼーナが二人の少女を連れて来る。
「この娘がアニタ、この娘がロッテニーナ……二人とも、あたしの助手をしてくれているんだよ」
 振り返り、紹介された二人にいつもの笑みを見せるエイジュ。
「そうなの、よろしくね」
「あ……はい」
「よ、よろしくお願いします……」
 彼女の美しい笑みに、同性ながらも、見惚れてしまう二人……
 エイジュから差し出された手を、恥ずかしそうにしながら握り返していた。

「じゃあ、改めて――道中を共にさせてもらって、良いかしら?」
 一通りの顔合わせを終え、改めて、皆を見渡すエイジュ。
 一人一人と、眼線を交わし、頷き合い、同意を得てゆく。
 ……最後に――
「あなたも、それで良いかしら? ……アゴル」
 きちんとケジメをつけるかのように、ファーストネームで呼び、彼に眼を、合わせていた。
「…………」
 眼を合わせたまま、黙すアゴルに、皆の視線が集まる。

「……頼って――いいのか?」

 やっと開かれた口から出たのは、少し、『弱気』とも取れる言葉だった。
「……勿論よ」
 アゴルに歩み寄りながら、確かな頷きと共に言葉を返すエイジュ。
「そうか……」
 彼女の言葉を耳にした途端、アゴルは大きく、息を吐いた。
 全身から、力が抜けてゆくのが分かる。
「お父さん?」
 怪訝そうに呼び掛けるジーナに向けた笑みは、疲れの色が濃く、浮き出ていた。
 砂を踏み締め、近付いてくるエイジュの姿が、霞んで見える。
「最後まで――目的地まで、一緒に……行って、くれるんだな……」
 途切れ途切れに並べられた言葉が、だんだんと、弱々しくなってゆく。
「ええ、間違いなく……」
 いつの間にか眼前に立ち、ハッキリとそう言い切ってくれる彼女の声が、何故だか、遠く聞こえる。
「そうか……たの、む――」
 膝が、ガクリと、折れる……ジーナを、その腕に抱いたまま……
 意識が、遠退いてゆく――
 
 ――ジーナを……
 ――降ろさなくては……

 このまま倒れるわけにはいかないと、そんな思いが脳裏を過る。

「安心してくれて構わないわ……アゴル――だから……」

 閉じた瞼、優しい暗闇の中――
 エイジュの声が耳に響く。

「ゆっくり、お休みなさい……」

 意識に残ったのは、その言葉が最後だった。


              幕間4へ続く